市販薬と病院の薬、効果の違いは? 薬剤師が教えるドラッグストアの賢い使い方

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抗生物質は風邪に効く?

〈解熱鎮痛剤については、これまで病院で処方してもらっていたという方も多いだろう。コロナ禍の現在ではともかく、風邪を引いたら病院へ。これが多くの人の行動パターンだった。「早く治すために早めに病院に行って、抗生物質をもらおう」と考える方も少なくなかったはず。

 しかし、久里氏は、この点は“誤解”であり、風邪であっても受診せず、市販薬を活用する選択肢がある、と述べる。〉

 そもそも風邪を引いた時には、病院へ行くべきなのでしょうか?

「病院で処方してもらう風邪薬と市販の風邪薬は別物。だから受診が必要」

「風邪には抗生物質(抗菌薬)が必要。だから受診が必要」

 こうした思い込みがありますが、これは誤解です。

 先ほども「ロキソニン錠」と「ロキソニンS」の例を用いて説明しましたが、風邪で病院に行き、処方してもらう薬の多くは、ほとんど同じ成分のものが市販されているのです。

 例えば、痰を切るために処方される「ムコダイン錠」は、同じ成分を含む「ストナ去たんカプセル」が市販されていますし、咳止めで処方される「メジコン錠」は、今年8月に医療用と同量の有効成分を配合した製品が市販されました。喉の痛みを抑える「トランサミン錠」の成分も、「ぺラックT錠」などの市販薬に含まれています。

 また、急性咽頭炎なども含む広義の、いわゆる「風邪」の原因は、おおよそ9割程度が細菌ではなく、ウイルスだと考えられています。抗生物質は細菌を壊したり、増殖を抑えたりする薬ですので、ウイルスには効かないのです。ではなぜ医師はそうとわかりつつ、抗生物質を処方するのか。「症状の悪化を防ぐ」などさまざまな理由がありますが、そのうちの一つは「患者さんが欲しがるから」です。患者のニーズに応えるために、医師も“とりあえず”と処方してしまうケースが少なくないことが国内外の調査でわかっています。

 解熱剤や咳止めなどであれば、薬局で購入することも可能です。薬が欲しいというだけであれば、わざわざ時間を使って病院に行く意味は薄いといえます。

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