甲府夫婦放火殺人事件でまたもや日弁連が抗議 少年犯罪被害者遺族は「時代にそぐわない少年法の理想を信じ込んでいる」
「死刑制度廃止」「安全保障関連法案に反対」――。時にリベラル系政党と見まがうような“主張”を行うことでも知られる日本弁護士連合会、通称「日弁連」。世の「常識」を無視し、少年法の理念を守ることに執念を燃やす様は、“生きた化石”と評する他あるまい。
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「甲府夫婦放火殺人事件」で逮捕された19歳の男の実名を顔写真付きで報じたことについて、本誌(「週刊新潮」)は次のようなコメントを出した。
〈犯行の計画性や結果の重大性に鑑み、容疑者が19歳の少年といえども実像に迫る報道を行うことが常識的に妥当と判断した〉
その“常識”から目をそらし続けた結果、生きた化石に成り果ててしまったのが日弁連という組織である。全国に約4万人いる弁護士は必ず加入しなければならない「強制加入団体」だ。
日弁連は10月22日、
〈少年の「推知報道」を受けての会長声明〉をHP上にアップし、今回の本誌報道について、〈少年法61条に反するものであり、決して許容されない〉と主張した。
念のために述べておくと本誌の考えはこうだ。無辜の夫婦を刺殺して放火するという重大事件を起こしたにもかかわらず、逮捕時の年齢が19歳ということだけを理由に実名報道を免れる事態こそ、世の常識に鑑みて“決して許容され”まい――。
「日弁連の執行部や加害者側に立つ一部の委員会は、歴史的に偏った考え方を持つ弁護士たちで固められています」
そう語るのは、犯罪被害者支援弁護士フォーラム事務局長で弁護士の高橋正人氏である。
「そのような弁護士は犯罪被害者の代理人活動を行わないことが多い。もちろん被害者の支援活動などもやったことはないでしょう。だからバランス感覚が養われず、加害者側に立ったような視点でばかり物を言ってしまうのです」
弁護士は自由に活動できない
実際、今回の「会長声明」も加害者側の視点のみで被害者に対する言及は全くない。なお、全ての弁護士が加入している日弁連のHP上に「会長声明」が載れば、それが弁護士の総意であるように受け取る人も出るだろうが、高橋氏は、
「日弁連の会長声明は弁護士の総意ではありません。会長声明の内容に疑問を感じている弁護士も多くいると思います」
として、こう指摘する。
「ただ、疑問の声を実際に上げるためには、日弁連の執行部や各委員会に入らなければなりません。が、そういう活動はお金にならないので普通の弁護士にはなかなか務まらない。そもそも、偏った考え方を持つ弁護士たちで固められた執行部に対し、相反する理念を持ち込もうとしても排除されてしまうだけです」
高橋氏自身も日弁連の“中”から発信することを諦めた経験の持ち主で、
「私は元々、日弁連の犯罪被害者支援委員会に入っていました。しかし、日弁連という組織は、執行部の許可がなければ各委員会が自由に意見を表明することはできません。それで私は委員会を辞め、自分で犯罪被害者支援弁護士フォーラムを立ち上げました。私が自由に活動できるようになったのはそれからです」
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