情緒不安定の妻にフライパンで殴られ…不倫がバレ、子どもに会えない夫が語る“泥仕合”

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「妻を傷つけた」という認識の欠如

 本来は調停中、裁判中であっても子どもには会えるはず。会わせないのは違法なのだが、妻は何かと理由をつけてドタキャンしてきたのだという。

「妻も妻の弁護士もそうやっていろいろ画策するんですよ。もう僕は本当に疲れた。何もかも妻にあげて離婚しようかとも思うんですが、親権だけはとらないと……。そう思ってがんばっています」

 別れ話が長引いたせいで、子どもたちが自分の意志を反映できる年齢になってきたのはむしろ彼には好都合のようだ。

「どうなるかわかりませんけどね……。こんなにこじれるとは思いもしなかった。本音を言うと、僕自身、不倫したことなんてほぼ忘れているくらいです。離婚原因はなんだっけと先日も考えちゃいました」

 離婚の係争は長引くことが多いし、特に親権を巡ってはお互いに熱くなりがち。むしろ熱くさせて妻の精神的な不安定さを露呈させたほうが自分に有利になるかもしれないとまで、彼は考えている。

「あんなにゆかりのことが好きだったのに、どうしてこんなことになったのか。僕の不倫が原因だというけど、あれはあくまでも一時の恋。離婚して一緒になろうなんて考えてはいなかった。それなのにこんな泥仕合をしなくてはいけないなんて」

 長い間、断続的に話を聞いてきたので、圭祐さんには同情している。妻に何かしら意図があったのかどうかもわからない。ひょっとしたら「入院させられた恨み」があるのかもしれない。もしかしたら、彼にとっての「不倫の恋」と、されてしまった側の妻にとっての「夫の不倫の恋」とは、重みがまったく違う可能性もある。とはいえ、起こってしまったことは早期に決着をつけたほうがよさそうだ。今後も裁判に翻弄される年月が続くのは誰にとっても幸せではないのだから。

亀山早苗(かめやま・さなえ)
フリーライター。男女関係、特に不倫について20年以上取材を続け、『不倫の恋で苦しむ男たち』『夫の不倫で苦しむ妻たち』『人はなぜ不倫をするのか』『復讐手帖─愛が狂気に変わるとき─』など著書多数。

デイリー新潮取材班編集

2021年11月3日掲載

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