日ハム監督に新庄が選ばれた裏事情とは 経営状態の悪化、中田翔の暴力スキャンダルが影響
日本ハムの監督に電撃就任した新庄剛志氏(49)。監督には向かないといわれてきた彼になぜこのタイミングで白羽の矢が立ったのか。
***
【写真6枚】昨年10月日ハムのトライアウトに参加していた「新庄剛志」
「もしホントに監督になるとしたら、それはもう楽しみですよ」
と言うのは、現役時代の新庄を指導し「恩師」と慕われる、日ハムOB、野球評論家の柏原純一氏である。
「この間は、私のYouTubeにノーギャラで出てくれてね。その時、“将来、指導者になれたらいいね”と言ったら、“うーん……そうですね”なんて言ってたけどね」
新庄は、阪神からメジャーに移籍し、日本選手初のワールドシリーズ出場後、帰国して日ハムに入団。数々のパフォーマンスで話題をさらった。15年前に引退した後はタレントや実業家として活動し、バリ島に移住もしたが、突如「現役復帰」を宣言。昨年はトライアウトに参加したものの、声はかからず。そんな折、降って湧いたかのような監督就任報道だった。
日ハムの次期監督については、OBであり、東京五輪で金メダルを獲った「侍JAPAN」の稲葉篤紀前監督の就任が既定路線だった。
何より、新庄といえば、サヨナラホームランを打ったのにランナーを追い越して帳消しにしたり、「ジーンズが穿けなくなるから下半身を強化しない」と言ってみたり。その言動は「宇宙人」といわれ、どう見ても指導者向きではない、と思われてきたのも事実である。
「背景には、日ハムの苦しいお家事情があります」
と、さるスポーツ紙のデスクが解説する。
「ここ3年、Bクラスに低迷し、昨年度はコロナの影響もあって経営は赤字に転落した。今年も中田翔の暴力事件での対応を巡って非難が殺到。再来年には新スタジアムに本拠地を移転することもあり、人気の回復が急務でした」
そこで白羽の矢が立ったのが、話題性では人後に落ちない新庄というわけである。
スポーツライターの赤坂英一氏によれば、
「日ハムという球団は、チーム編成や戦力補強、スタッフ人事については球団が主導する。監督は、一人だけ自分の相談相手となるコーチを連れてこられる以外は、意見を求められることがないそうです」
面倒くさい組織作りや人事は球団が担い、監督は采配と盛り上げ役に徹する――なるほど、確かに新庄でもOK、むしろ適任ということかもしれない。
もっとも、
「野球人なら100人中99人がクエスチョンマークを付けるんじゃないの」
と言うのは、日ハムOBの評論家・張本勲氏。
「バリ島に行って10年は経っているでしょう。その間、野球から離れているわけだから、どれだけ知識があるか、また、親分としての器量があるかはまったくわからないよね。OBとしては、期待より心配の方が先になる。そりゃ話題にはなるだろうけど、正直戸惑っていますよ」
と嘆くのである。
[1/2ページ]