松坂大輔がレ軍時代「ポールを掴んで肩を痛めた」と発言 評論家は「大人の発言」と指摘する理由
投手OBは疑問視
翌2009年3月に開催されたWBC(ワールド・ベースボール・クラシック)で、松坂は日本の優勝に大きく貢献した。
ところが、ボストンに戻ってからは苦戦し、何度も故障者リストに名を連ねた。結局、成績は4勝6敗、防御率は5・76と、それまでのキャリアで最も酷い数字となった。
「シーズン中には、レッドソックスの調整方法を批判したというコメントが報じられました。反響は大きく、松坂さんは『言ったことがない』と否定したものの、謝罪はしました。更にオフになると『WBCの前から股関節を痛めていた』ことを告白。球団側に隠していたことが明らかになり、GMのセオ・エプスタインに謝罪しました」(同・記者)
引退会見では「肩」だったが、2009年のオフで問題になったのは「股関節」だった。不調の原因に関して疑問が残るとはいえ、松坂本人が会見で語ったのだから疑っても意味がない。だが──。
野球解説者の江本孟紀氏は「松坂くんは、まさに“大人の態度”で記者会見に臨んだのだと思います」と言う。
「率直に言いますが、肩を痛めながら18勝3敗という素晴らしい成績をあげ、シーズンが終わると症状が出るという説明は、元ピッチャーの私としては信じられません。肩の具合はピッチャーの生命線の1つです。ケガをすれば、今日明日のコンディションに直結します。1年後に悪影響が出るというような、ゆっくりとした話ではないのです」
“真実”の無意味
江本氏は、松坂の発言を聞いて、江川卓氏(66)の引退会見を思い出したと言う。江川氏は1987年に引退を表明したが、その際に「禁断のツボ」に鍼治療を行ったと説明したのだ。
「会見で江川さんは、長年の疲労で右肩の具合が限界に達していたが、優勝のかかった広島戦にはどうしても登板したかった。そこで『即効性はあるが確実に選手生命を縮める』という“禁断のツボ”に鍼を打ってもらったというエピソードを明かしたのです。会見で取材をしていた記者も涙を流すほど感動的な秘話でした」(前出の記者)
ところが、江川氏の発言が報道されると、「そんな危険なツボはない」と鍼灸医の団体が抗議する事態に発展。最終的に江川氏は謝罪した。現在では「何らかの事情があり、江川氏は真実を口にできなかったのだろう」と見られている。
「松坂くんも同じ可能性があります。レッドソックスに在籍していた時、調整方法を巡って首脳陣と対立があったことは日本でも大きく報道されました。恐らく、それが不調に大きく影響しているでしょう。引退会見で記者の質問に答えようとすれば、どうしてもその問題に触れざるを得ない。しかし、もう引退するのです。蒸し返しても意味がないでしょう。それどころか、野球ファンから『恨み節を口にしている』と反感を買う可能性さえありますからね」(同・江本氏)
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