「体に投資する」超高級食材店のカリスマバイヤーが明かす買い物術 新鮮な食材の見分け方、調味料の選び方は
買い物は「投票」
幸いなことに、大手百貨店や通販業者さんからお仕事をいただき、全国から体によくて美味しい食品を探すことに夢中になりました。そして素晴らしい生産者さんたちに会っていくと、ある共通点に気づきました。
それは多くが家族経営のような小規模で、中にはお一人でやっている方もおられるということです。誠実に真面目に作る職人さんたちが、地場のよい食材を扱うことで「トップ オブ トップ」の逸品が生まれていたのです。
ところが、いざ自信をもって百貨店などに売り込んでも、商品はよくても生産体制が不安定だと門前払いされることが多かった。生産者の方々も職人気質で売ることが下手だったりして販路が広がらず、バイヤーとしてもフラストレーションは溜まる一方でした。
10年後も20年後も残ってほしい品々が一堂に会する店を何処かに作れないか。その思いで42歳の時に設立したのが、芦屋のグランドフードホール1号店でした。
嬉しいことに日本の買い物事情もよい方向に変わってきています。うちの店にも大手スーパーの方々が見学に来てくれるようになりまして、ワケを聞くと、最大手のスーパーの会長さんなどは“なぜ、あの小娘に無添加商品がたくさん販売できて、我々はできないんだ!”と幹部会議で怒鳴ったそうなんです。
名立たる大手企業が販売商品を見直してくれれば、生産現場や消費者の生活自体も変化していく。だから買い物は「投票」だと思うんです。少しくらい高くても、美味しくて体によいものが売れることで、粗悪なものが店頭から駆逐される。安かろう悪かろうといった商品の需要がなくなれば、自ずと良いものを作る会社も増えていくと思います。
人間の体は食べている物で作られていますから、よい食品を買い続けることは自分の体への「投資」でもあります。厳しいご時世で家計を見直すとなれば、槍玉に挙がるのは食費だと思いますが、自分の健康を守るためだと考えれば、安易に削るのは本当に得なのか。
ちなみに、私の会社の仲間はみんな元気で10年皆勤はザラです。病院のお世話になるのも歯医者くらいで、ほとんど医療費はかかっていません。健康なら気持ちも上向きになるし、仕事もはかどる。それで生涯賃金だって変わるかもしれません。
これからの季節、みかんを毎日食べ続けていると手が黄色くなってしまうことはありませんか。それだけ人間の体は正直なわけですから、日々の食事の基になる買い物にも、気を遣ってほしいと思うのです。
[7/7ページ]