「体に投資する」超高級食材店のカリスマバイヤーが明かす買い物術 新鮮な食材の見分け方、調味料の選び方は

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「ウチの商品は絶対に買うな」

 ある食肉加工メーカーの工場長は「妻にうちの商品は絶対に買うなと言っている」と話してくれました。腐敗を防ぐため恐ろしくなるほどの食品添加物を使っていると。そういった類の話は、お菓子やパン、さまざまな食品会社の社員さんからも聞きました。多くの方から“自社製品は食べない”という答えが返ってきたのです。この経験は、私が国産食品に抱いていた信頼感を根底から覆すきっかけになりました。今の仕事を続けたら、“消費者をだますことになる”というわだかまりが、拭(ぬぐ)えなくなっていったのです。

 仕事絡みでお世話になったNHK「きょうの料理」でもお馴染みの料理研究家・白井操(みさお)先生の手料理をいただくことで体調がよくなった経験も手伝い、安全安心と胸を張れる食品を揃えたお店を作りたい。そういう思いを抱えていたところ、たまたまパーティーの隣席で当時の阪急百貨店の会長さんとご一緒する機会がありました。私が「これからの食はどうなりますか」と尋ねたところ、「百貨店も今後は仕入れに経費をかけられないので、バイヤー代行のような仕事が必要になるのでは」と言われ、自分の中でピンとくるものがありました。そこで食のバイヤー代行業をはじめてみようと思い立ち、36歳の時に独立を果たします。

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