「阪神失速・佐藤輝ブレーキ」の原因と「近本サイン盗み」騒動との関連性について担当記者に聞く

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7月6日以前と以降

 この記者が続ける。

「2009年の時には、それらしき疑わしい行為があるという指摘が複数の球団から出てきたのを受けて取り決めをしたと記憶しています。サイン盗みについては、いま現役で活躍する選手らがリトルリーグとか高校野球とかで頑張っていた頃って普通にあったようですね。そういうことが当たり前の環境でプロに入ってきて、『なんでやらないんだろう?』と疑問に思う選手もいたみたいです。一応取り決めがあるから『やってはいけないこと』になっているんですけどね」

 別の記者にも聞くと、

「近本の行為は確かに紛らわしかったですね。自分なりにバランスを取っていた結果のようですが、ああいう動きをしたら疑われるのは当然でしょう。プロで活躍している選手には、問題とされたような伝達行為をこれまでの野球人生で経験した者も少なくないと聞いたことがあります」

 そして、こう続ける。

「あの事件と阪神の失速とは繋がっているのでは……という指摘は割とあるんですよね」

 実際、今季の成績を見てみると、

3・4月 18勝8敗
5月  11勝6敗2分
6月  12勝10敗1分
7月  5勝8敗 6日まで2勝3敗、7日から3勝5敗
8月  7勝9敗
9月  10勝9敗4分
10月  12勝5敗3分

チームに微妙に影を落とすもの

 サイン盗み騒動前後で見てみると、以下の通りだ。

前 43勝27敗3分 勝率.610
後 32勝28敗7分 勝率.530

「騒動後に勝率がガクっと落ちていることから、それまでサインを盗んでいた、などと言いたいわけでは全くありません。戦力を整えたヤクルトが強すぎたというのが普通の見方でしょう。ただ、例えばボークの判定を受けてフォームを崩してしまった投手がいるように、チームに微妙な影を落とすアクシデントとか事件とか判定というのはあるんですよね。結果論になりますが、7月6日の出来事は、阪神の勢いを殺(そ)いだひとつの要因じゃないかと思っている記者は結構いると思います」(先の記者)

 さらに別の記者に聞くと、

「それを言うなら、7月6日の“事件”当時、打席にいた佐藤輝明の成績にも影響があったという声がありますね。単純に打率だけを見ても、開幕から6月まで267打数73安打の打率.273だったのが、7月以降は158打数28安打で打率177。9月には2軍落ちを経験しましたし、1軍のベンチをあたためる機会が多くなりました。そのうえ59打数連続無安打という、投手を含めたセ・リーグのワースト記録を作ってしまいました」

 佐藤輝明がブレーキとなったことが阪神の成績に影響したのは間違いないだろう。勝負の綾はわからないもので、ジンクスめいたものが少なからず流布するのもそこに理由がある。はたしてクライマックスシリーズにまで「7月6日の余波」は影響するや否や。

デイリー新潮取材班

2021年11月2日掲載

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