「阪神失速・佐藤輝ブレーキ」の原因と「近本サイン盗み」騒動との関連性について担当記者に聞く

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「ごちゃごちゃ言うな」「やるわけないやろ」

 11月5日から、セ・リーグではクライマックスシリーズがスタートする。ペナントレースでは開幕カードで3連敗したヤクルトが終盤で阪神を振り切って優勝を果たした。2年連続最下位からの反転攻勢だったわけだが、春先から好調を維持してきた阪神の失速の原因探しも注目された。プロ野球担当記者の間からは、7月6日のヤクルト-阪神戦での出来事が影響していると指摘する声があがっている。

 7月6日、神宮球場で行われたヤクルト―阪神戦。阪神が4点リードで迎えた5回表2死1、2塁。マウンド上のヤクルト、田口麗斗投手は打席に佐藤輝明外野手を迎えていた。初球を投じようとした際に、2塁走者・近本光司外野手はリードしながら膝に置いていた左手を横に真っすぐに伸ばした。

 それから左手はすぐに膝の上に戻したが、改めて2度、細かく動かした。それを見た村上宗隆3塁手は左手のグラブで近本を指して審判にアピール。これに阪神の矢野燿大監督と井上一樹ヘッドコーチが、「ごちゃごちゃ言うな」「絶対やってへんわ」「やるわけないやろ。アホ!ボケ!」などと罵声を浴びせた。

 村上は矢野監督と井上ヘッドをにらみつけて阪神ベンチへ向かって行く。試合はストップし、審判団が間に入って矢野監督と高津臣吾監督が協議を始めた。マスク越しではあるものの、アクションも相まって両監督の興奮が伝わってくる。「こっちもやるぞ」と高津監督が訴える場面もあった。

セパ共に取り決めが存在

 高津監督が「やる」と言うのはサイン盗み・伝達行為を指していた。試合後に審判団はざっと以下のように説明している。

《サイン盗みとかするわけじゃないんだけど、距離を測るために手を出していたと(いうのが阪神側の言い分)。走者が帰塁の練習をするじゃない? スポーツマンらしく、クリーンに試合をやろうということで。(帰塁のポーズを注意したのか?)紛らわしいからそれはやめましょうと、注意しただけです》

 試合後、矢野監督はこの件について、「俺はこれは現役時代からそうやけど、今は監督でもそうやし、一回も自分自身やったことないし。俺がもしやっているんであれば、どんな責任でも処分でも受けるし」と否定している。

 両球団の担当ではない記者によると、

「結局、うやむやと言うか何があったのかよくわからないまま終わってしまいましたね。まあ証拠もないし仮に聞き取り調査とか大仰なことをしても、明確な証拠や結論が出てくるわけではないので仕方ない面はあると思いますが……」

 セ・リーグは2009年に「ベンチ内、ベースコーチ、走者から打者、あるいは塁上の走者に対して球種等の伝達は行わない」など取り決めをしている。パ・リーグでは1998年、ダイエー(現ソフトバンク)にスパイ疑惑が起きたことをきっかけに同様の宣言が出された。

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