番宣ナシでも高評価の綾野剛「アバランチ」 現代劇では約10年ぶり“喫煙シーン”の効果は?

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「殺すな」

 山守がメンバーたちに課している条件はたった3つ。「バレるな」「殺すな」「裏切るな」。随分と大雑把である。

 10月25日放送の第2話では半年前にマンションの13階から飛び降りたとされる女性・夏川洋子(中島亜梨沙、38)の死の真相を追った。

 洋子は海外援助を行う独立行政法人に所属し、カンボジアの子供たちの支援を行っていた女性で、ハッカーのアバランチメンバー・牧原大志(千葉雄大、32)の実姉だった。

 死の真相はやはり自殺ではなく、他殺だった。外務省の汚職が背景にあった。

 マスコミが調べたら、何年経っても分からないような話が、アバランチが調べると、すいすいと分かった。綾野扮する羽生がどんなカギでもこじ開けて建物内に侵入するし、牧原は凄腕のハッカーだからだ。元自衛隊特殊工作部隊員・明石リナ(高橋メアリージュン、33)らほかのメンバーも異能の持ち主である。

 アバランチはこの事件の黒幕である外務副大臣・黒田正治(嶋田久作、66)の悪事を盛大にバラし、破滅に追い込んだ。「殺すな」という命令は守るものの、悪党には情け容赦ない集団である。

 このドラマは悪役が悪役らしいところもいい。悪役が良い人に見えては物足りない。

 おそらくラスボスは内閣官房副長官の大山健吾(渡部篤郎、53)なのだろう。綾野扮する羽生との対決が楽しみだ。

高堀冬彦(たかほり・ふゆひこ)
放送コラムニスト、ジャーナリスト。1990年、スポーツニッポン新聞社入社。芸能面などを取材・執筆(放送担当)。2010年退社。週刊誌契約記者を経て、2016年、毎日新聞出版社入社。「サンデー毎日」記者、編集次長を歴任し、2019年4月に退社し独立。

デイリー新潮取材班編集

2021年11月1日掲載

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