番宣ナシでも高評価の綾野剛「アバランチ」 現代劇では約10年ぶり“喫煙シーン”の効果は?

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近年のドラマと喫煙シーンをめぐる問題

 喫煙シーンが登場するドラマは、昔は珍しくなかった。例えば故・松田優作さんは、日本テレビ「探偵物語」(1979年)で頻繁にタバコをくわえていた。これもハードボイルド作品だった。

 2019年のNHK大河ドラマ「いだてん~東京オリムピック噺~」にも喫煙シーンが数多く登場したが、これは喫煙者の多かった昭和初期から描いたから。それでも一部視聴者から疑問の声が寄せられた。

 1950年代から1960年代を描いた2017年前期の連続テレビ小説「ひよっこ」の場合、逆に喫煙シーンをなくしたところ、不思議がる声が上がった。誰もが納得する表現はない。難しい。

 では、綾野が羽生を演じる「アバランチ」の喫煙シーンへの意見はどうかというと、SNSの声の一部は以下の通り。

「毎回、タバコのシーン欲しい。最高」「タバコ吸うシーン要らないよね?しかも、何人も乗っている車内でも喫煙って、あり得ない。もうこのドラマ、見るのやめる」「こーゆーアウトローでタバコ吸う役やってくれるの歓喜する」「羽生さんのタバコ吸う姿が本当に本当にかっこいい」

 綾野の喫煙はおおむね好評。だが、ドラマと個人の喫煙は別問題。吸う人はほかの人に気遣いを。ちなみに2020年12月現在、習慣的に喫煙している人は16.7%である(男性 27.1%、女性 7.6%)=厚生労働省「最新たばこ情報」=。

ハードボイルドが似合う綾野

 さて、アバランチとはアウトロー集団である。その1人である羽生は元警視庁公安部外事4課の刑事。パーマ頭にチョビ髭で、チンピラ臭が色濃く漂っている。ハードボイルド作品の主人公の在るべき姿だ。

 外事警察はスパイの摘発や機密情報の流出などの捜査をするところだから、腹が据わっているはず。これもハードボイルドの主人公に向いている。

 綾野は演技の幅が広いことで知られるが、特に似合うのはハードボイルド。映画「闇金ウシジマくん Part2」(2014年)やTBS「MIU404」(2020年)などで見る側を楽しませた。

 なぜ似合うかというと、雰囲気がクールで身のこなしが軽いからだろう。アクションの切れ味が抜群だ。

 アバランチの実質的な司令塔は山守美智代(木村佳乃、45)。警視庁の元幹部なので、アウトローを自称しながら、彼女たちは本当のワルたちではないはず。実際には正義を実現する組織なのだろう。山守の要請に従い、メンバーは警察が真相に辿り着けなかった事件を追う。

 警察の代わりをはたす集団の源流を辿ると、「必殺シリーズ」(朝日放送、1972~2009年)や「ザ・ハングマン」(同、1980~1987年)に行きつく。いずれも大阪に本社がある民放準キー局がつくっている。関西人の気質はお上を信用しないのか、私設警察を好むのかも知れない。

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