「中国は確実に台湾に侵攻する」前統合幕僚長が警鐘 沖縄の海が戦場と化す?

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目前に迫った危機

 また、各国との連携も大切だ。9月2日にイギリスの最新鋭空母「クイーン・エリザベス」麾下の空母打撃群が来日し、高知県沖でアメリカ、オランダ、カナダとの共同訓練「パシフィッククラウン21-3」などが実施された。同様にドイツもインド太平洋地域に艦艇を派遣するなど、欧州各国も中国の動きを念頭に置きながら、一定のプレゼンスを示そうとしている。

 海洋の秩序作りを進める「日米豪印戦略対話(クアッド)」も重要だ。ASEAN諸国も極東地域の重要なパートナーだが、中国の支援に依存する国もあり、対中国という観点からは決して一枚岩ではない上、海軍力を比較してもクアッドに比べて見劣りが否めない。心強いことに、英国が参加の意向を表明したほか、ドイツやオランダ、フランスも加入の方向にある。

 17世紀から18世紀にかけて、近隣諸国との戦争に明け暮れたフランスのルイ14世は「領土の拡大は為政者にとって最も相応しく、最も心地よい仕事である」と語った。

 国際法を無視した中国の横暴は、300年前のフランス王と同様に領土拡張に執念を燃やす、習氏をトップとする共産党の一党独裁国家体制が崩れない限り続くだろう。我々は台湾有事が「いずれ起きるかもしれない危機」ではなく、「目前に迫った危機」であることを自覚し、決意をもって来るべき日に備えなければならない。

河野克俊(かわのかつとし)
前統合幕僚長。1954年、北海道生まれ。防衛大学校を卒業後、77年に海上自衛隊入隊。第3護衛隊群司令、護衛艦隊司令官、統合幕僚副長、自衛艦隊司令官、海上幕僚長などを経て、2014年に統合幕僚長に就任。現在、川崎重工顧問。著書に『統合幕僚長』がある。

週刊新潮 2021年10月28日号掲載

特集「前統合幕僚長が警鐘 中国は確実に『台湾に侵攻』する」より

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