「中国は確実に台湾に侵攻する」前統合幕僚長が警鐘 沖縄の海が戦場と化す?
自国民を虐殺した過去
振り返れば、中国は建国から間もない50年にチベットに侵攻し、62年にはいまも続く中印国境紛争を始め、69年にはアムール川支流にある中洲の領有を巡ってソ連と戦った。79年にはトウ小平が「懲らしめてやる」とベトナムに侵攻している。
極めつきは厳しい国際世論をものともせず、1万人もの自国民を虐殺した89年の天安門事件だ。こともあろうに人民解放軍が一般の民衆に銃を向けたのである。こうした過去からも分かるように、中国の武力行使に至るハードルは極めて低いということを忘れてはならない。
〈15年に制定された平和安全法制によって、自衛隊と米軍の連携は緊密化した。それでも、いざ有事となれば、自衛隊には「重要影響事態」や「存立危機事態」「武力攻撃事態」など、各状況に応じた初めての対応が求められることになる。
日本が直接的な攻撃を受ければ、自衛隊は必要最低限の武器使用が認められる「防衛出動」を初めて要請されることになるのだ。〉
もとより台湾問題は外交で平和的に解決すべきで、それが大前提だ。が、その行く末はあくまで中国の意思に依る。だからこそ、我々は最悪の事態を想定しておく必要がある。最も近い与那国島と台湾はわずか110キロの距離しかなく、有事の際は西表、波照間、石垣などの各島をはじめ、尖閣諸島の近海も戦域と化すからだ。
これら先島諸島には、およそ10万6千人の住民が暮らしている。戦争が始まれば、彼らの避難も必要だ。それだけでも大変なオペレーションだが、その際、これまでのように“あくまで平和的解決を”などという空想的平和主義の議論が繰り返されれば、貴重な時間が浪費されることになる。
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