「中国は確実に台湾に侵攻する」前統合幕僚長が警鐘 沖縄の海が戦場と化す?

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 覇権主義国家と化した中国は「神聖なる使命、崇高なる目標」と掲げる中台統一への野心を剥き出しにしつつある。間近しともいう人民解放軍の軍事侵攻は不可避なのか。一昨年まで自衛隊トップの統合幕僚長を務めた河野克俊氏が、台湾有事のリアルを解説する。
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 国家の経済発展が海軍力の増強と海洋進出を伴うのは、歴史的必然といえる。大航海時代のポルトガルやスペイン、それに続いたイギリス、オランダをはじめ、近現代ではアメリカや日本も同じ道を歩んできた。

 経済発展は海洋権益の拡大を伴い、それとともに通商交通路としてのシーレーンの安全確保が必須になる。従って、世界第2位の経済大国となった中国が海洋進出を企図するのは自然なことで、理解もできる。問題は彼らの海洋に関する一方的かつ独善的な考え方だ。

 国際法では「海洋は自由」というのが基本的な理念だ。特定の国の領土や領空に他国が無断で侵入することは許されないが、領海では条件付きで認められている。中国の船が日本の領海を単に通航するだけなら、それが軍艦であっても「無害通航権」により許される。仮に核ミサイルを搭載した戦略原子力潜水艦であろうとも、浮上して国旗を掲げていれば「作戦行動中でない」と判断され、まったく問題はない。

 9月10日に中国海軍の潜水艦がミサイル駆逐艦1隻を伴って、鹿児島県奄美大島東部の接続水域を潜水したまま通航したが、これも国際法上は許容される。ただ、海軍の常識でいえば、いたずらに他国の危機意識を煽る「挑発的な行動」であり、少なくとも友好国に対してすべき行為ではない。

 その中国は、1953年に南シナ海全域の海洋権益を主張するU字形の「九段線」を設定し、80年代に入ると太平洋・東シナ海に「第1列島線」「第2列島線」、さらに「第3列島線」と呼ばれる線を引いた。以来、彼らは海洋の自由を掲げた国際社会の不文律に反する行動を繰り返している。

〈九段線とは、スプラトリー諸島やパラセル諸島などを囲うラインで、中国が「歴史的に南シナ海の大半は中国の領海で、域内の島々は中国領」と主張する根拠のひとつになっている。2013年にフィリピン政府がオランダ・ハーグの常設仲裁裁判所に国連海洋法条約違反として提訴し、16年の判決で中国の主張は「法的根拠がない」と却下された。が、中国政府は「一切受け入れない」と明言して現在に至る。

 また、第1列島線は九州南部から沖縄本島、先島諸島、台湾、フィリピンを経てボルネオ島に至る南北のラインだ。中国はこの線の自国側を排他的な支配下に置くことを企図している。第2列島線は伊豆諸島から小笠原諸島、グアム、サイパンを経てパプアニューギニアに達するもの。さらに第3列島線は「太平洋における米中の軍事防衛ライン」とも呼ばれ、アリューシャン列島からハワイ、アメリカ領サモアを経由しニュージーランドを結ぶ。いずれも中国の海洋進出における戦略の段階を示しており、対米防衛の指標的ラインと位置づけられている。

 今年7月、習近平国家主席は中国共産党創建100年記念式典で「台湾問題を解決し、祖国の完全な統一を実現することは共産党の歴史的任務だ」「いかなる台湾独立の企みも断固として打ち砕き、民族復興の美しい未来を創造しなければならない」と宣言した。〉

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