甘利幹事長が小選挙区敗北で辞任へ 「安倍」「小石河連合」の”逆襲”が始まる
前代未聞の事態である。政権与党の幹事長が小選挙区で落選してしまった。午前0時頃、NHKが神奈川13区に出馬していた甘利明幹事長の小選挙区敗北を伝えた。比例復活できたものの甘利氏の幹事長辞任は必至であり、発足1カ月の岸田政権にとって大打撃となる。岸田政権発足で割りを食ったと言われる安倍晋三元首相、さらには菅義偉前首相や小泉進次郎氏ら「小石河連合」がこの機に乗じて、巻き返しを図る可能性がある。
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【写真8枚】お気に入り新人女性候補・高橋舞子氏の応援に駆けつけ選挙カーで演説する甘利氏と、「記者だったとは思えない」と地元県連を騒然とさせた高橋氏の”公募作文”
お気に入り女性候補とともに敗北
「甘利が危うい」
1週間くらい前から、永田町ではこんな声が出回り始めていた。日を追うごとにそれは真実味を増していく。各社の情勢調査でも「接戦」から「劣勢」へ。公示後は、ゴリ押しして公認させたと言われる大分1区の高橋舞子候補の応援に駆け付けるなど全国行脚していた甘利氏であったが、ここ数日は地元に張り付き、駅頭で声を枯らしていた。ちなみに高橋氏も、早々に小選挙区で落選確実となった。
公示前は決してそんな空気ではなかったという。
「もともと甘利さんは選挙に強い。2017年の前回選挙では、今回当選した立民の太栄志氏(当時は希望の党)をダブルスコアで破っています。しかも前回は、UR(都市再生機構)をめぐる口利き疑惑が出た直後の選挙でした。今回も圧勝すると見られていたのですが……」(政治部記者)
創価学会から総スカン
岸田政権が発足し、幹事長に就任したことが裏目に出てしまったのだ。
「もともと甘利氏は、安倍・菅の両政権においても、カネの問題が理由で要職からは外されていました。記者に囲まれなければならないような職には、あえて就けないようにしていたわけです。しかし、岸田さんが幹事長に据えてしまったため、完全に過去がぶりかえされてしまった。『文春オンライン』が甘利氏の幹事長就任後に再掲載した疑惑の記事は、ネット上でかなり読まれていたと言います」(同前)
今回は野党共闘が実現し、共産党が候補を立てなかったことも逆風となった。前回、共産党候補が獲得した3万6000票の大部分が立民候補に流れてしまったわけだ。さらには“味方”であるはずの公明党の動きも鈍かった。
「公明党は甘利氏に3次推薦を出していますが、まったく動かなかったと言います。もともと選挙の実働部隊である創価学会の婦人部は、カネの問題にうるさい。甘利氏は日頃から公明党に対してぞんざいな態度を取っていたとも言われ、意趣返しだった可能性もあります」(同前)
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