「日本沈没」で思い出す27年前のベストセラー 未来推進会議の出席者はなぜ12人なのか

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今後の展開は

 中央官庁というと、通常は1府12省庁だが、未来推進会議には内閣府と国家公安委員会(警察庁)のメンバーがいない。だから11人となった。危機下の治安維持を話し合わなくてはならないのに、警察庁のメンバーが不在なのは腑に落ちない。やはり12人にしたかったのだろう。

 日本の行く末を担う未来推進会議だが、目下のところメンバーの多くは感じがとても悪い。財務省・織辺智は第1話でこんなことを言っていた。

「環境省お得意のきれい事は結構ですが、助成金は青天井というわけにはいきませんよ」

 もちろんフィクションだが、国のカネを自分のもののように語るのは本当とされている。

 中村アンが演じる外務省の相原美鈴は現時点では役立たず。なぜか常にテンションが高い。第2話ではこう発言していた。

「暴論(田所博士の関東沈没説)の検証のために時間を割くより、もっと国益のために」

 何が国益かを官僚が自分たちで判断するのは危ういはずだが。

 もっとも、関東沈没が具体化する今後は天海と足並みをそろえざるを得ないだろう。

「十二人の怒れる男」では陪審員8番だけが父親殺しに問われた少年の無罪を主張。関東沈没を唯一訴えた天海と一緒だ。時間が経過するうち、ほかの陪審員たちの考え方にも変化が生じる。

 天海も最後には官僚仲間の全面支持を得る展開になるのではないか。

高堀冬彦(たかほり・ふゆひこ)
放送コラムニスト、ジャーナリスト。1990年、スポーツニッポン新聞社入社。芸能面などを取材・執筆(放送担当)。2010年退社。週刊誌契約記者を経て、2016年、毎日新聞出版社入社。「サンデー毎日」記者、編集次長を歴任し、2019年4月に退社し独立。

デイリー新潮取材班編集

2021年10月31日掲載

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