「日本沈没」の設定はリアル? 専門家の意見は「メカニズムとしてはあり得る」

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「学者の足の引っ張り合いはリアル」

 だが、こちらの専門家は素直に番組を楽しんでいるようだ。京都大学の鎌田浩毅名誉教授(地球科学)は、1973年公開の映画第1作のみならず、74年放送のドラマ、さらに2006年版の映画と「全部観ている」とおっしゃる。

「本作は他のシリーズと同様、さほど荒唐無稽だとは思いません。学者が足を引っ張り合う話などは、現実にもあって大変リアル」

 では、原作と比べてどうなのか。

「小説は、海底プレートのモデルや地震発生のメカニズムについてきちんと踏まえつつ、プレート運動を実際よりも“早める”ことで日本を“沈没させる”フィクションを描いた。今回のドラマも手法は同じ。温暖化で海水面が上昇し、海底プレートに強い圧力がかかって地震が引き起こされると想定しているのですが、メカニズムとしてまったくないわけではありません。ただ、地震に繋がるほどの海水面上昇が、現実には起きないだけです」

 もし設定に関心を持ったなら、視聴者はそれを契機に現実の危険にも目を向けてほしいと訴える。

「南海トラフ地震は2035年を軸に前後5年の誤差で確実に発生します。予想被害総額は220兆円で、国の年間税収の3.5倍。予想死者数は32万人で、3.11の犠牲者2万人の16倍です。まさに日本沈没。だから対策と準備が急務なのです」

 ドラマのキャッチコピーに「信じられるリーダーはいるか。未来は絶対に消させない」とあるが、現実の世を見ると指導者は心もとない限り。悲劇は小説とドラマの中だけにしたい。

週刊新潮 2021年10月28日号掲載

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