森田芳光監督 生誕70年で人気再燃 ライムスター「宇多丸」が語る”色褪せない作品の魅力”

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遺品の時計

 単行本『森田芳光全映画』が出版されると、三沢プロデューサーは宇多丸さんに時計をプレゼントした。「10年間、渡す人を迷っていた」という、森田監督の遺品だった。

「恐縮しながら、それでもいただきました。僕はとにかく森田監督の1ファンとして、出来ることをやっただけですが。監督は幸福な映画人生を歩んだことは間違いなく、メジャーな会社でスターを使って数々の作品を撮りました。ただ、批評の世界では評価に偏りがあったと思います。『森田監督は80年代に傑作を撮ったけど、後は大したことなかった』とか、『後期の森田作品は興行こそ好調だったが作家性は失われていた』といった指摘は珍しいものではありません。今回の著作で、そうした批評的傾向を再検証する流れができればと考えています」

デイリー新潮取材班

2021年10月31日掲載

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