「ジャニーズの主演ドラマが、民放のゴールデン・プライム帯から消えた」ことについての考察

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あの作品があったから今の○○がある

 おそらく、目下制作されているジャニーズの深夜ドラマの多くは、もちろん現在の視点で見ても価値の高いものだが、10年以上経ったあとに振り返ってみると、「劇団演技者。」のように、あの作品があったから今の○○がある……といった観点でさらに価値が高まるものになっていくだろう。

 本稿ではドラマに注目してきたが、もちろんジャニーズ俳優の活躍の場はテレビドラマに限らない。

 映画は、東山紀之(「おとなの事情 スマホをのぞいたら」)や木村拓哉(「マスカレード・ナイト」)岡田准一(「燃えよ剣」「ザ・ファブル 殺さない殺し屋」)といったベテラン組の主演作も公開される一方、SixTONESの松村北斗主演の「ライアー×ライアー」、Snow Manのラウール主演の「ハニーレモンソーダ」、美 少年の浮所飛貴主演の「胸が鳴るのは君のせい」と、今年、若手主演の少女漫画原作の映画に絞っても3本が公開された。

 デビュー前のジャニーズJr.でありながら主演映画が作られているのは近年ではKing & Princeの平野紫耀の成功例があるが、固定のファンがいるため興行的な見通しが立てやすく、企画を立てる製作側としても安心の要素が大きい。

9月は12本のジャニーズ出演の舞台が

 さらに、演劇の世界でもジャニーズ俳優は引っ張りだこである。9月は12本のジャニーズ出演の舞台が公演されていた。

 もちろんその中には帝国劇場で長年上映されている「DREAM BOYS」のように作・ジャニー喜多川/演出:堂本光一といったようなジャニーズ色の濃いものもあるが、主催はジャニーズではなく別の企業で、俳優としての実力や集客力などが評価され、彼らがキャスティングされた公演も多い。

 元・男闘呼組の岡本健一と元・Hey! Say! JUMPの岡本圭人という実際の親子が親子役を演じた「Le Fils 息子」など、事務所の所属タレント同士でのキャスティングの妙が光る作品もあるが、こちらも主催は東京芸術劇場だ。

 さらに、昨年、事故を起こした俳優・伊藤健太郎の“代役”での明治座主演で話題となった、原嘉孝のようにグループでのCDデビューを経ていない個人の俳優で、舞台主演をはるケースまで多く出てきており、人材は多様だ。もちろん映画同様、観客動員にも大きく貢献している。

 昨年、V6の井ノ原快彦と映画「461個のおべんとう」で親子役を演じた、なにわ男子の道枝駿佑や、美 少年、HiHi Jetsのメンバーの多くは10代。一方で、今年も主演映画が公開された東山紀之や、意外にも今回が連続ドラマ初主演となったTOKIOの城島茂は50代だ。

 10代~50代と年齢の幅がある上で、ドラマから映画・演劇まで主演級が揃い、対応できる作品の幅も広い。今のジャニーズは“俳優事務所”という側面で見ても、かつてないほどに、幅広く豊かな人材を擁する事務所になっているのである。

霜田明寛
1985年東京都生まれ。早稲田大学商学部卒業。9歳でSMAPに憧れ、18歳でジャニーズJr.オーディションを受けた「元祖ジャニヲタ男子」。就活・キャリア関連の著書を執筆後、4作目の著書となった『ジャニーズは努力が9割』(新潮新書)は5刷を突破。 また『永遠のオトナ童貞のための文化系WEBマガジン・チェリー』の編集長として、映画監督・俳優などにインタビューを行い、エンターテインメントを紹介。SBSラジオ『IPPO』凖レギュラー。

デイリー新潮取材班編集

2021年10月30日掲載

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