「ジャニーズの主演ドラマが、民放のゴールデン・プライム帯から消えた」ことについての考察
なかなか刺激が強めの深夜ドラマ
これらの枠ではなかなか登場の回数は少ないものの、地方局制作のドラマで、今年重宝されているのがA.B.C-Zだ。
まずは4月クールにメ~テレ制作の「ワンモア」にグループ全員で主演。
7月クールは橋本良亮が朝日放送制作の「痴情の接吻」に、10月クールは戸塚祥太が、毎日放送制作の「凛子さんはシてみたい」に主演。
特にともに漫画原作で、いきなり男女が同居を始める「痴情の接吻」と、27歳の処女と童貞が主人公という設定の「凛子さんはシてみたい」は、なかなか刺激が強めの深夜ドラマだ。
「私の頭の中は淫らなことでいっぱいです」というヒロインのモノローグで始まる回もあり、現実と想像を交えたちょいエロシーンも豊富な「痴情の接吻」はTVerの再生回数ランキングで1位も獲得した。
このように、コンプライアンス的な側面から縛りの厳しいキー局制作のGP帯のドラマに比べて、深夜ドラマは不倫やエロの描写も許容範囲が広く、内容面でも自由な表現がされやすい。例えば“トレンディドラマ”といったひとつの言葉で括ることのできない、昨今のドラマの豊かさを、多くのジャニーズ俳優たちが担保していると言ってもいい。
錚々たる作り手との仕事
また、GP帯になると、視聴率が取れなかった場合“初主演ドラマが大コケ”といった報道をされる可能性も高いが、それもないためキャスティング的な挑戦もしやすい。
さらには近年ではTVerの再生回数など、視聴率とは別の指標も重要視されてきているため、視聴率が低いからといって、一概に作品や俳優の評価が低くなることはないという現状もある。若手の初主演作としての挑戦や実験がしやすい環境が整っているのである。
さらに言えば、この深夜枠での“実験”は、ジャニーズには大きな実績がある。2002年から2006年にかけてフジテレビの深夜で放送されていた「劇団演技者。」だ。(開始当初の名称は「演技者。」)基本、4話で“1公演”となっており、劇作家による脚本で、ジャニーズの俳優が主演をし、ドラマが制作されていた。
脚本を手掛けた劇作家は、三浦大輔に本谷有希子、前田司郎など当時“若手”だったものの、その後、映画や文学など他の世界でも活躍するようになる錚々たる面々で、総合演出を手掛けた大根仁もその後「モテキ」で映画監督デビューするなど、ジャニーズ俳優と作り手とが共に挑戦し、成長していった枠でもある。
櫻井翔、生田斗真、風間俊介、横山裕etc……嵐や関ジャニ∞をはじめNEWSなど、現在30代半ば以上のメンバーの多くが、若い頃にこの枠で経験を積んでいる。
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