「ジャニーズの主演ドラマが、民放のゴールデン・プライム帯から消えた」ことについての考察
時代の流れを敏感に捉えた1本
最初に注目すべきは枠の存在だ。
今年、土曜23時台のテレビ朝日系列に新設された「オシドラサタデー」は、基本的にテレビ朝日とジャニーズ関連会社「ジェイ・ストーム」の共同制作で作られているドラマ枠だ。7月期には東映も加わっての、ジャニーズJr.の人気ユニットである美 少年が主演する特撮ドラマ「ザ・ハイスクール ヒーローズ」が放送されたが、そういった情報から察すると色モノ作品に見えてしまう方もいるかもしれない。
だが、東映が生み出した戦隊シリーズの第1作「ゴレンジャー」も登場するなどきちんと“本家”にリスペクトを表したうえで「6人目の戦士は最初は敵」といった戦隊モノの法則をきちんと踏襲し、脚本などのスタッフも仮面ライダーシリーズの経験者が並ぶなど、ジャニーズ主演の青春ドラマでありながら特撮ヒーローファンも心躍る1本となっていた。
10月期の「消えた初恋」は、Snow Manの目黒蓮と、放送期間中にデビューを迎える、なにわ男子の道枝駿佑がダブル主演。同性同士の恋愛を、その部分を過度に特異に扱うでも、またいわゆる“BLもの”のように、萌えの対象にするでもなく、あくまで数多ある青春時代の恋愛のひとつとして爽やかに描いている、時代の流れを敏感に捉えた1本だ。
“令和の”「野ブタ。をプロデュース」
惜しまれるのは、今年7月クールをもってのテレビ東京の木曜深夜「ドラマホリック!」枠の終了だ。2019年、1本目の作品となった松岡昌宏主演の「死役所」が話題を呼んだ同枠。
今年も4月期に、映画化やアニメ化もされている森絵都の人気小説をHiHi Jetsのメンバー主演でドラマ化し、一味違った青春ドラマとして蘇らせた「DIVE!!」や、7月期には不倫や殺人などGP帯では描きづらいシーンも直接的に描写した、Kis-My-Ft2・北山宏光主演の「ただ離婚してないだけ」など、意欲作が続いていた。
一方、2017年から続いているのは日テレ月曜深夜の「シンドラ」枠。
“令和の”「野ブタ。をプロデュース」と喧伝され、野ブタ同様10代の揺れ動く気持ちを丁寧に掬い取ったうえで、社会問題にも深く切り込み映画版も作られた隠れた名作「ブラック校則」。
これをはじめ、「とと姉ちゃん」の西田征史が脚本監修を務め、舞台化もされた「正しいロックバンドの作り方」、そして今クールはTOKIOの城島茂の50代での連続ドラマ初主演作となった「サムライカアサン」など、毎クール毛色の違う、バラエティに富んだ作品が並ぶ。
これらは全て、ジャニーズタレントの主演で作られており、Sexy ZoneやジャニーズWESTなどの2010年代にデビューした若手グループのメンバーから、TOKIOまで登場。ときに彼らの“初主演作”になることもある。
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