東京駅vs.横浜駅 ターミナル駅利用者対決の勝者は? 細かくデータを積み上げると

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珍しいことではない

 さて、先ほど横浜駅の乗車人員が東京駅を追い抜いたと記した。市販の時刻表を見ると、横浜駅は神奈川県、東京駅は東京都のそれぞれ代表駅として扱われている。乗車人員という限られた部門ながら、都県間でのつばぜり合いという観点から神奈川県が東京都よりも優位に立ったと一部で話題となった。

 しかしながら、過去の記録を調べると横浜駅の乗車人員が東京駅より多いのは珍しいことではない。JR東日本は各駅の乗車人員を1999(平成11)年度分から公表している。横浜駅が東京駅を上回ったのは1999年度から2011(平成23)年度までの13カ年度分でいずれも横浜駅が4位、東京駅が5位であった。

 2012(平成24)年度になって東京駅が4位となって横浜駅を逆転し、翌2013(平成25)年度は前年に3位であった渋谷駅が5位になった代わりに東京駅が3位、横浜駅が4位と変化が生じている。以来、2019年度までの8カ年度分は東京駅が横浜駅を上回り、2020年度は9年ぶりに横浜駅が東京駅を上回ったという次第だ。

 横浜駅、東京駅どちらが上かと言っても、所詮は数値の話であり、ともに立派なターミナルである。それにJR東日本が発表した乗車人員という物差しは横浜、東京両駅が果たす役割の一部を測っているに過ぎない。

 横浜駅には東急電鉄、京浜急行電鉄、相模鉄道、横浜市営地下鉄、横浜高速鉄道と5社の路線が乗り入れているし、東京駅はJR東海の東海道新幹線の起点でもあり、また東京メトロ丸ノ内線も乗り入れる。これらの乗車人員も加えて比較すべきだし、駅の利用者数という観点で言えば各線どうしの乗換者数も考慮しなければならない。

横浜駅と東京駅の乗降者数を比較

 そもそも、駅に到着して駅舎の外に出る降車人員を無視してよいのかと疑問も生じる。JR東日本をはじめ、多くの鉄道会社は、駅の乗降者数と言った場合、乗車人員の2倍が相当するという。だが、測定するとやはり異なる。誤差程度の違いであっても利用者数を比較するならば正確な数値で行いたい。

 いま挙げた数値の大多数は運輸総合研究所がまとめた各年度版の『都市交通年報』という統計書の「各駅旅客発着通過状況(主要線区)」から得られる。首都圏、中京圏、京阪神圏の主要路線の各駅で旅客がどのように乗り降りしたか、またどのように乗り換えたかを一部を除いて詳しくまとめたものだ。

 そこで、横浜駅と東京駅の乗降者数や乗換者数を比較してみたいと思う。横浜駅の場合は乗降者数、乗換者数ともすべての鉄道会社分がそろっている。

 一方で、東京駅の場合は乗り入れる各新幹線の乗降者数のデータが存在しないので、東海道新幹線についてはJR東海が2015年に「アニュアルレポート2015」として発表の1日平均の乗車人員である9万7000人を2倍にして使用し、東北新幹線など東北・上越・北陸・北海道・山形・秋田の各新幹線の乗降者数はJR東日本が2015年に「新幹線駅別乗車人員」(https://www.jreast.co.jp/passenger/2014_shinkansen.html)として発表の1日平均の乗車人員である7万2774人をやはり2倍にして用いた。

 それから、東海道新幹線と東北新幹線などとの乗換者数は不明だ。以上を踏まえて少々古いのだが、『都市交通年報』の最新版である平成28年版に掲載されている「各駅旅客発着通過状況(主要線区)」のデータは2014(平成26)年度分であるので、この数値を用いて横浜駅と東京駅とを比べてみよう。なお、以下に掲げた路線名は正式名または正式名に準じた名称とし、たとえば「宇都宮線」「上野東京ライン」といった系統名、愛称は省いた。

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