宇崎竜童が語る片頭痛との50年の闘い 「頭蓋骨を金づちで打ちつけられるような痛みが24時間続く」
〈まずは、長年にわたって激しい頭痛と向き合ってきた宇崎竜童氏(75)の声を紹介したい。〉
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片頭痛に悩まされて半世紀以上になりますね。何しろ、妻の阿木(燿子)と同じくらい長い付き合いになるんだから(笑)。
初めて頭痛に襲われたのは芸能事務所のマネージャーをしていた20代前半の頃。「ダウン・タウン・ブギウギ・バンド」でデビューする前のことです。
マネージャーという仕事柄、運転免許が必要だというので教習所に通っていたんですね。そこで、学科の授業を受けていたら、ボールペンでノートに書き留めていた文字がプッと見えなくなった。最初はインクが切れたのかと思いましたが、どうもそうじゃない。視界の中央に白い点が現れてペン先が見えなくなっていたんです。それがいまも続く頭痛の“予兆”でした。
この予兆は、年齢を重ねるごとにハッキリと把握できるようになりました。最初はチカチカッと白い光が点滅して、心電図のように波打ちながら動き出す。その光の点が次第に増えて視界全体に広がっていくわけです。その後、1時間くらいして白い光がパッと消えたかと思うと、入れ替わりに頭痛が始まってしまう。
痛みが現れると24時間くらい続きます。
「ウゥーン」と唸り声を上げたくなるような激しい頭痛に見舞われて、仕事も手につかない。頭蓋骨を内側から金づちでガンガン打ちつけられているみたいな感じでね。ドックンドックンと脈打ちながら痛みが押し寄せてくる。眠ろうとして横になっても痛みは一向に治まりません。でも、ピークが過ぎるとスーッと痛みが消えるんですよ、何の挨拶もなく(笑)。頭痛の方が諦めるんでしょうね、「こいつは痛めつけても音を上げねぇな」って。
バンド活動をしていた時代は、ライブの最中にも頭痛がやってくるので本当に大変でした。とにかく我慢しながら歌うしかない。それなのに、本番が終わって打ち上げに入る頃にはケロッとしちゃうんだから。
車、ベッドサイドに薬を常備
頭痛のトリガーとして思いつくのは“気圧”です。天気予報で台風が東京に近づいてくることを知るとイヤな予感がする。気圧の変化が激しい時には必ず頭痛に襲われてきました。季節の変わり目にもやってくるので、四季折々の情緒なんて楽しめない(笑)。
あとは、深夜までスマホをいじったり、パソコンでメールを打ったり、老眼鏡をかけて長時間、細かい文字を読んでいた時にも予兆が出ました。視神経の疲れが影響しているのかもしれません。
そんな状態でも病院には通わず、市販の頭痛薬だけで耐えてきたんですが、10年ほど前から東京女子医大の清水俊彦先生の診察を受けるようになりました。
先生から処方されたトリプタン製剤を飲み始めて、だいぶ頭痛との向き合い方が変わったと思います。予兆を感じたらすぐに薬を1錠飲む。薬の効果が出るまでの間、徐々に頭痛が強くなっていくんですが、どこかの段階で止まります。つまり、それ以上は痛みが悪化しない。これは本当に助かりましたね。
たとえば、車を運転している最中に予兆が来るのが最も困るわけです。そういう時は急いでパーキングエリアとかに車を停めて薬を飲む。だから、いまは車とバッグのなか、それに自宅のベッドサイドには必ず薬を置いていますね。
今年に入って、新たに注射薬が承認されたので打ってもらいました。これまでに3回打ちましたが、決まって3日後に予兆が現れる。でも、ひと晩寝たらウソのように痛みが消えた。いまは様子見の状態ですが、うまく頭痛と“お別れ”ができればいいなと思ってます。