韓国でMRI検査中、10キロの酸素ボンベが突っ込んで患者死亡「安全で安心な韓国はどこへ?」の声

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一般的な消化器は置かないのが基本

 今月14日、韓国・金海(キムヘ)市の総合病院でMRI(核磁気共鳴画像診断装置)検査を受けていた60代患者が死亡した。検査室に置いていた10キロの金属酸素ボンベがMRI機器に吸い込まれ、患者の頭と胸を挟んだことが死因だという。日本でも報じられ、衝撃が走ったこの事故からも垣間見える韓国の医療事情について、現地在住・羽田真代氏がレポートする。

 まずMRIについて確認しておくと、検診を受ける際には検査室に金属を置くのはもちろん、身に着けている金属類も全て外すことが必須だ。刃物や工具を近くに置いたままMRI機器を作動させれば、それらが相当な速度で装置に向かって飛んで来ることになる。消防法でも、MRI検査室はスプリンクラーの設置も免除されているほどだ。

 消火器も一般的なABC粉末消火器は鉄製のものが多く、MRI検査室には設置しないことが基本だ。仮に必要な場合は非磁性体消化器を置かなければならない。

 また、ピアス、ヘアピン、家庭用磁気治療器などを身に着けていれば火傷を負うことも確認されている。過去には他国で、火傷や今回の韓国のようなMRIによる死者事故が報告されている。

酸素注入をしなければならない状態

 韓国で起きた事故については、事故が起こったMRI検査室には監視カメラも設置されておらず、警察は医療従事者の供述と解剖検査結果を元に捜査を進めている。

 現時点で判明していることは、重さ10キロの酸素ボンベが事故前にMRI機器からわずか2メートル離れた場所に置かれていたということだ。そして、病院側はメディアの取材に対し「患者の健康状態が悪くて酸素注入をしなければならない状態であったことから、仕方なしに酸素ボンベを検査室に持ち込んだ」と釈明している。

 酸素吸入が必要な患者がMRI検査を受ける際には、MRI対応型の人工呼吸器を装備してから検査室に入るはずだが、検査担当者らはこの必要性を感じなかったのだろうか。

 調査に有効な監視カメラについていえば、今年9月、韓国議会で手術室などへの設置を義務化する法案が可決されたばかりで、2023年に施行される見通しとなっている。

 これは、無資格者(看護師や研修医)らが外科手術を行ったことによる医療事故が相次いだことや、医師が手術中に同僚から誕生日ケーキを送られる写真がSNSに流出したこと、医師による性的暴行などが問題となったことが背景にある。手術室への監視カメラ設置が実現すれば、先進国では初のケースになるという。

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