TBS「モニタリング」企画に激怒、APにつかみかかり… ソニー・ミュージック役員がパワハラのてん末

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増長させた“改変”と”鬼滅

 役員を怒らせたとはいえ、TBSはなぜ、3人がかりで謝罪に赴いたのか。近年になってA氏が手にした“権力”について、芸能ジャーナリストは次のように語る。

「20年以上、宣伝一筋でやってきた方なので、Aさんはメディアに顔が利く人ではありました。まあ、典型的な昭和の宣伝マンというタイプですね。立場が大きく変わったのは、19年の春にソニーミュージックの関連レーベルの宣伝事業をひとつにまとめた組織改編でした。宣伝部門の長になったことで、Aさんは、これまで扱っていなかったアーティストも統括するようになった。加えて昨年は『鬼滅の刃』の大ヒットがありましたからね。『紅蓮華』を歌うLiSAはソニー所属ですし、アニメを企画したアニプレックス社もソニー・ミュージックの関連企業。テレビ局のプロデューサーたちは、“顔”であるA氏を持ち上げていました」

 もっとも、もともとパワハラ体質だったという証言もある。怒鳴る、ゴミ箱を蹴るといった姿はたびたび目撃されており、これに耐えられず職場を去っていったスタッフも少なくないとか。アンガーマネジメント講習が、A氏の“更生”のために開かれたこともあったそうだ。先の懲戒事由に〈度々の注意、指導を受けたにも関わらず、職場において社員並びに取引先に対して業務上必要な範囲を超えた不適切な言動を取った〉とあるのは、こうした点も指してのことだろう。

ジャニーズが出演、お蔵入りにもできず…

 話をモニタリング事件に戻すと、

「Aさんの振る舞いを見たTBSの局員が『あり得ない、訴える』となってしまった。あとでAさんは冷静になり、その場にいた警備員らの口止めに回ったり、一方で『TBSの局長に謝りに行く』と反省モードになった。でもA氏が出てくると話がややこしくなるので、結局、さらに上の立場の人間がTBSへ謝りにいったみたいです。じつは『FAKE』は2本撮りで、後日、もう一本の放送が予定されていました。問題となった8月5日の回ではジャニーズWESTの重岡、神山、藤井、濱田が出演していましたが、残りのメンバー分も収録していたのです。ソニーとこじれているものの、ジャニーズが出ている以上、TBSとしてはお蔵入りにするわけにはいかない。結局、9月9日になって残る桐山、小瀧、中間の『FAKE』が放送されましたが、裏では“パワハラを見逃す代わりに放送させて”の取引があったとされています」(先のソニー・ミュージックの関係者)

 社内の宣伝関連部署に対しては、A氏直々の謝罪があったというこの問題。ただしソニー・ミュージックの広報は取材に対し、

「TBSの方とAとの間で立ち話があったのは事実ですが、本人は高圧的な言動も暴力行為も行っていないと言っています。会社としてそういった行為は確認できませんでした」

 と答える。ならば〈不適切な言動を取った〉ことを理由にした懲戒はなんだったのかと尋ねると、

「人事異動につきましては事実です。が、理由についてはお答えを差し控えさせていただきます。本件とは紐づかない理由であることだけは確かです」

 このパワハラ事件、業界からはこんな声も聞こえてくる。

「昨年のNHK紅白歌合戦には、ソニー・ミュージック系列の事務所に所属するアーティストが8組も出場しました。紅白には『1社から5組まで』という不文律がありますから、一部では話題になったのです。じつはこれも、NHKに対するA氏の働きかけによるもの。この一件でA氏は紅白に関われなくなり、ソニー・系列アーティストの出演数は減ると一時は言われていました。が、つい先週もNHKに出入りしていたというA氏の目撃談はあって『よく来れるね』と噂になっていますよ」(さるレコード会社の関係者)

デイリー新潮取材班

2021年10月28日掲載

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