加藤浩次は関西で不人気…日テレ「スッキリ」不調でマジで打ち切りが検討される日

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「加藤浩次」退社の影響

 通常なら、関西地区3位、関東地区2位はピンチとまでは言えないだろう。だが「スッキリ」は3月にアイヌ民族の方々を傷つける問題を起こしているので事情が異なる。

 この問題が起きた直後、「打ち切り」という報道がいくつもあったが、結果的に観測気球に過ぎなかった。半面、関西地区の視聴率が落ち込んでいる現在は本当に終了が検討されかねない。

 終了が検討されかねない理由は不祥事と視聴率だけではない。MC・加藤浩次(52)が今年3月いっぱいで吉本興業を完全に離れたことがある。

 加藤は世間の目が吉本の「闇営業」問題に注がれていた2019年7月22日放送の「スッキリ」で、「今の(岡本昭彦)社長、(大崎洋)会長体制が続くのなら、俺は吉本興業を辞める」と猛批判した。この発言を吉本がどう捉えているかだ。

 加藤は「辞める」と言った2019年10月、実際に吉本を離れ、個人事務所に所属しながら、吉本とエージェント契約を結んだ。現在はそれも解消されている。

 加藤の売り物である男気が、個人事務所所属になっても存分に生かされればいいのだが……。ちなみに各民放と吉本の関係は、ほかの芸能事務所とは全く違う。各民放は吉本の大株主だからだ。歩調を合わせないと利益を上げられない。

日テレの危機管理術

 一方、日テレは伝統的に危機管理術に長けている。世間から糾弾された番組は速攻で打ち切る。たとえば「芸能★BANG+」(2011年10月~2012年7月)である。

 芸能界のゴシップを、事情ツウ(芸能番)たちが語り合うというバラエティー番組だった。問題が発生する余地がないはずだった。

 ところが、2012年5月4日放送の「緊急放送!芸能★BANGザ・ゴールデン離婚占い借金…ニュースの主役vs最強記者軍団」が迷走する。

 女性タレントを洗脳したと報じられた占い師が、「間もなく登場する」と予告しながら、出てきたのは違う占い師だったのだ。これに視聴者は怒った。放送倫理・番組向上機構(BPO)も問題視。同7月13日に審議入りを決めた。

 すると日テレは電光石火で打ち切りを決定。当時の社長は、現会長で民放連会長でもある大久保好男氏(71)だ。打ち切りの判断はBPO審議の結果を見てから行うのが一般的なのだが、大久保会長の判断はいつも早い。

「スッキリ」の今後のカギを握るのはスポンサーの意向と視聴率。不祥事が起きようが、その番組のイメージが深刻なまでに悪化していない限り、スポンサーは番組を応援する。もちろん好視聴率が条件だ。

 制作者たちは、よく目にする関東地区の視聴率だけでなく、全国の視聴率を意識して番組をつくっている。つまり「県民性」まで考えている。

高堀冬彦(たかほり・ふゆひこ)
放送コラムニスト、ジャーナリスト。1990年、スポーツニッポン新聞社入社。芸能面などを取材・執筆(放送担当)。2010年退社。週刊誌契約記者を経て、2016年、毎日新聞出版社入社。「サンデー毎日」記者、編集次長を歴任し、2019年4月に退社し独立。

デイリー新潮取材班編集

2021年10月27日掲載

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