大学時代に人妻を略奪、次は会社の後輩と… 40歳の“バツ2”男が語る「波乱万丈」と「これから」
性的関係が失われても…
ところが人間というのは寂しい生き物である。
「そこは僕の不徳のいたすところというか器の小さなところというか……。差別しているわけじゃないんです。麻里のことは本当に尊敬さえしていた。だけどできなかったんです」
性的に、彼はできなくなってしまったのだ。彼女が風俗で稼いでくれたことを心からありがたいと思い、その気持ちに報いなければとわかっているのだが、体は反応してくれなかった。
「麻里も最初のうちは『心労が大きかったのよ。気にしないで』と言っていましたが、何度もそうなるとつらそうで……。『やっぱりそうだよね、私みたいな女とその気にはなれないよね』と。いや、違うと言葉では言っても、実際にできないので僕自身もつらくてたまらない」
心では麻里さんを愛しているのだ。それは間違いなかったと栄太さんは言う。だが体が言うことを聞かない。
「こんなせつない話、ないですよ。自分で自分を呪いましたから」
性的関係が失われてもふたりの絆は消えないはず。彼はそう考えた。もちろん病院にもかかったが、やはり心因性のものなので実質的に治療法はない。カウンセリングには何度も行った。だが彼の中で問題が解決されない限り、ことは好転しないのだ。
「僕自身、風俗に関して悪いイメージはありません。行ったことがないわけでもない。風俗で働いてお金を貯めた彼女を汚いとも思っていない。ただ、深層心理では汚いと思っているのではないかとカウンセラーに言われました。思っていないんです、本当に。だけどできない。自分で自分を裏切っているような感じですよね」
高校時代の同窓会で…
新たな職場では仕事がうまく回り始めていた。社内の人間関係も風通しがよく、居心地のいい場所だった。心機一転、栄太さんも腰を据えてがんばっていたが、心の中には常に「自分の深層心理への疑惑」があった。
栄太さんはほぼ毎晩、麻里さんと手をつないで寝た。抱きしめたまま朝を迎えることもあった。麻里さんもアルバイトを始め、家庭的にはうまくいっていたはずなのに、深夜、目覚めると麻里さんが静かに泣いていることがよくあった。そこでさらにプレッシャーがきつくなっていく。
30歳を迎えたころ、高校時代の同窓会があった。当時つきあっていた亜由美さんと再会、オープンで明るい彼女にならと後日、相談をもちかけた。
「亜由美にすべて話しました。前の結婚のことも。『あんた、相変わらずろくでなしだね』と言われてなんだかホッとしましたね。亜由美とはつきあっていたとはいえ、淡い関係でした。でも10数年ぶりに会うと、当時を思い出して自己開示ができる。そうやって話しているうち、彼女が『ねえ、試してみる?』と言い出したんです」
妻とだけEDなのか、誰とでもできないのか。それは栄太さんが知りたいところでもあった。
「私も結婚している身だから、お互いに口外しない、そして一度きりという約束よ、と亜由美に言われて助かったと思いました。そしてホテルに行って……。そうしたらできちゃったんですよ。しかもふたりとも燃えに燃えて。当時、キス止まりの関係だったから、ふたりともやっと完結できたような妙な達成感のおまけまでついてきた(笑)。笑いごとじゃないんですけど、できたときはうれしかった」
[3/4ページ]