大学時代に人妻を略奪、次は会社の後輩と… 40歳の“バツ2”男が語る「波乱万丈」と「これから」
今度は社内の後輩と…
22歳になる直前、彼は藍子さんに急かされて婚姻届を書いた。大学をやめようかと迷ったが、いざ結婚してわかったのは、彼女の実家が裕福だったこと。結婚したのならと、学費も生活費も出してくれることになった。ひとり娘の奔放さを親は責めることもなかったようだ。
「僕の家庭は母ひとり子ひとりだったから、これで母に迷惑をかけずにすむ、ラッキーと思ったのが正直なところでした。でも結婚生活はうまくはいかなかった。息子の家庭教師と浮気するくらいなので、彼女、家庭を築く気なんてなかったのかもしれません。魅力的な女性だったけど、とても結婚生活なんて呼べるようなものではなかった。ただのおままごとですね」
就職活動をしたが、すでに家庭があるとなると二の足を踏む企業が多く、なかなか勤め先が決まらない。見るに見かねたのか、藍子さんの父親が、知り合いの経営する企業に“押し込んで”くれた。
「せっかく入社できたのだから、コネだろうと何だろうとがんばって頭角を現してやると思っていました。がんばればがんばるほど、家庭は家庭として機能しなくなっていきましたけどね」
帰っても妻がいない日が多くなった。どこかで遊んでいるのだろうと思いながら、やはり寂しさは禁じ得なかった。だが、言葉通り彼は必死で働いた。営業に配属され、2年後にはチーム内でも発言を期待される存在となった。
「そのころ1年後輩の麻里と懇意になりました。だけど一応、僕は結婚しているからつきあうわけにはいかない。社内不倫と言われてせっかく得た居場所を失うのも怖かった。でも、麻里はぐいぐい来るんですよ。『先輩、先輩』ってついて回るようなかわいい子で」
どうやら栄太さんは、「ぐいぐい」来られると弱いようだ。藍子さんにしろ、麻里さんにしろ女性のほうが積極的だ。どこか優柔不断なところが女性には追いかけるしかないと思わせてしまうのかもしれない。
「ある日突然、麻里に『先輩、お願い。一度だけでいいから』と泣きながら懇願されて、ついほだされて関係を持ってしまったんです。彼女は翌日、会社を辞めました。辞めるつもりで僕を誘ってきたんだと思うと、心配でたまらなかった。社内の噂では実家に帰ったということだったので、あの夜を思い出にするつもりだったのかと……寂しかったですけどね」
「1000万くれたら別れてもいい」
1年後、妻から離婚届を突きつけられた。オレが何をしたのかと聞くと、麻里さんの名前をあげ、「彼女と一緒になれば?」と冷たく突き放されたという。
「時間がたっているとはいえ、麻里と何もなかったわけではないからギクッとしました。すると藍子は、『教えてあげる』と言い出した。1年前、麻里は藍子に連絡をとって、『栄太さんをください』と言ったそうです。藍子は『1000万くれたら別れてもいい』と告げた。そうしたら1年後に、麻里が1000万円を持って彼女の前に現れたそうです。『風俗で稼ぎまくったみたいよ。本当に持ってくるとは思わなかった』と藍子は言いました。思わずつかみかかってしまった。麻里の気持ちをそんなふうにもてあそんだのが許せなくて。同時に何も知らなかった自分にも腹が立ちました」
彼は妻から聞いた麻里さんの連絡先に電話をかけた。麻里さんは声が栄太さんだとわかると嗚咽を漏らした。
「僕が悪かったと言うしかなかった。藍子とは離婚することで話がついたのですが、藍子の父親が激怒して、当然、会社もクビになりました。ただ、社内で応援してくれる先輩がいて、その方の紹介で他企業で働くことができるようになったんです」
26歳のときだった。仕事が決まると、麻里さんと同居を始めた。
「本当に私でいいのと言う麻里に、オレのせいでこんなことになって悪かったと言うしかなかった。僕のために命がけになってくれる女性がいる。1年で1000万ためるなんて尋常じゃない。そんなことする女性がいるなんて泣けるじゃないですか。彼女だけが僕の支えでした」
応援してくれた先輩と友人に証人になってもらって、ふたりで婚姻届を書き、提出した。結婚式はしなかったものの、イタリアンレストランでおいしいものを食べながら、「ふたりで生きていこう」と誓った。
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