無免当て逃げで雲隠れ…年収2000万円「木下ふみこ都議」を辞めさせるたった一つの方法
険しい処分への道
都議会は10月14日にも2度目の召喚状を送付し、11月末までに議長室へ出頭するよう求めてはいるが、法的拘束力はない。つまり、辞職させることはおろか、「面会」すらできていないのである。一部会派からは地方自治法に基づく「懲罰」を求める声もあがる。戒告、陳謝、出席停止、除名の4種類がある懲罰で、最も重い除名処分は本会議に3分の2以上の議員が出席し、4分の3以上の賛成で成立する。現在の状況を考えれば、木下氏の「除名=失職」は可能のように思われるのだが――。
「木下氏の無免許事故は懲罰の対象となる議会活動とは異なるため、除名処分の道は容易ではありません」と説明するのは都議会関係者。過去には除名処分は不当として裁判で争い、勝訴を勝ち取った地方議員もいる。木下氏が「体調不良」の診断書を提出するなどして欠席を続けた場合、処分への道は険しいというのだ。
自動車運転処罰法違反などの疑いで書類送検された木下氏は9月28日、自身のホームページで不眠やストレスなどのため通院しているとした上で、「失われた信頼を回復できるよう、償うべき償いを行い、これからの議員活動で答えを導き出しながら、ご奉仕させて頂きたいとの思いは、今も持ち続けております」と説明。議員活動の継続に意欲を見せる一方、報酬は寄付する考えも示している。
過去には4年超の例も
木下氏はなぜ辞めないのか。地元・板橋区の関係者はその理由をこう解説する。「木下氏は書類送検されたことは重く見ており、その結果を見てから判断しようとしているのではないか。でも、本人の周辺には『辞職反対論』もある」。公選法には禁固以上の実刑となれば失職するとの規定があるが、執行猶予がつけば免れる。リコール(解職)も当選1年以内の議員は対象外だ。都議会各会派代表による検討会の自民党の山崎一輝座長は「こういった事項をこれからどう解決していくんだという道筋をつくるためにも、この検討会の中でしっかりと議論していきたい」と対応策を急ぐ考えを示している。
こうした問題はなにも都議会だけの話ではない。国会でも、2019年7月の参院選で当選した河井案里元参院議員の陣営による大規模買収事件で、有罪判決を受けた案里氏には1年半で総額5000万円近くが支給されて批判を浴びた。1997年に詐欺事件で逮捕された友部達夫元参院議員は4年4カ月間も国会に姿を見せることなかったが、実刑判決確定までに合計1億5000万円超も支給されている。
議員活動の中心となる議会への出席がかなわないならば、議員報酬(歳費)は凍結すべきとの声も強まる中で、議員たちからは「体調不良を理由にした欠席や推定無罪の原則との兼ね合いも考えなければならない」「政敵を貶める目的で多数派が議会による懲罰を乱用すれば収拾がつかなくなる」との声も漏れる。辞めない議員に、辞めさせられない議会。自民党の川松真一朗都議は「有権者からは『ふざけるな』『(木下ふみこ議員を辞職させることが出来ないなら)お前も辞めちまえ』という声がきている。ぼくもできるのだったら、議会全員の総意のもとに、議会解散。もう一回選挙やり直したい」「それでも、木下さん、あなたは選挙に選ばれるのか」と自身のYouTube番組(10月7日更新)で怒りを露わにし「木下ふみこ氏の辞職」のウルトラCを披露した。
もしも、この状態が任期満了まで4年間続けば、総額8000万円の「不労所得」となる計算だ。コロナ禍で苦しむ国民から見れば、なんともやり切れない気にもなるだろう。
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