首都直下型地震で警戒すべき「埋没谷」とは 注意すべき3エリアは?

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大地震は刻々と近づいている

 ところで、冒頭で首都直下地震の発生が懸念されている旨を述べたが、はたして先日の地震に、それとの関連性はないのだろうか。若松研究員は、

「首都直下地震の前兆ということはないと思う」

 と言いながらも、今後への懸念をこう述べる。

「ただ、日本列島は93年の釧路沖地震以降、地震活動が活発な時期に入って、それ以降は毎年、日本のどこかで大きな地震が起きています。関東周辺も同様です。関東大震災の前には、関東周辺で中小地震がたくさん発生したといわれています。ですから、今回の1回が大地震の前触れとか引き金、というわけではありませんが、首都圏を襲う関東大震災クラスの地震は、いつ起きてもおかしくありません。昭和になって大きな地震が起きていないのは首都圏くらいです。地震が起こらない地域だと思っている方もいますが、そうではなく、刻々と近づいているのです」

首都直下地震を誘発するか

 一方、前出の鎌田氏は、

「今回の地震が、首都直下地震を誘発するのではないかと心配です」

 と、懸念を隠さない。

「首都直下地震が起こると考えられている場所は、首都圏19カ所。今回の震源地もそのうちの一つです。いまの地震学は首都直下地震を予測できませんが、それは地震が起きるまで、どれが前兆だったかわからないということ。今回の30倍の規模とされる首都直下地震が起きれば、埋没谷の有無にかかわらず激しく揺れます。M7・3、全壊家屋61万棟、被害総額95兆円というのが、考えられる最悪のパターンで、火災旋風が起きる可能性がある。約2万3千人と想定される死者の約7割は、火災が原因だと想定されています」

 鎌田氏は、東日本大震災を機に、タームが変わったとみている。

「そこから日本列島は、地震や噴火が活発な大地変動の時代に入りました。今後20年は地震が止まず、首都直下地震が起きる可能性も高まっています。もう一つ、さらに大きな南海トラフ巨大地震が、2030~40年に起こる可能性が高いことにも注意をしたい。しかし、その前に首都直下地震が起きる可能性があるのです」

 どういうことか。

「東日本大震災に相当する地震が前回起きたのは、西暦869年。東北沖を震源とするM9クラスの貞観地震で、それを機に現在と同様に大地変動の時代に入り、全国で地震が頻発。そして9年後の878年、関東南部でM7・4の直下型地震が起き、さらに9年後の887年、南海トラフ西側と東側の震源域で同時に、仁和地震というM9クラスの巨大地震が起きました」

 鎌田氏は「過去は未来を解くカギ」と話す。もっとも、東日本大震災の9年後に首都直下地震が起きたわけではないが、

「エネルギーを溜めこんだ状態が続いています」

 と、鎌田氏は言う。

「被害総額で、東日本大震災の5倍規模とされる首都直下地震が近い将来に起きたあと、東日本の10倍規模の南海トラフ巨大地震が、関東から九州にかけて起きる危険性がある。最悪の場合、東京から大阪を通って宮崎まで、約6千万人の被災が想定され、被害総額は日本の税収の数倍になる。先日の地震がその前触れかどうかはわかりませんが、そういう地震が起きる可能性があることを知って、準備してほしいのです」

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