今冬の懸念「新型コロナ」と「インフルエンザ」の同時流行はありうるのか
ワクチン接種率は70%近くに
新型コロナウイルス感染者の急速な減少が続いている。
8月半ばの1日当たりの新規感染者数は、6000人近くに上った東京都でも、10月上旬から100人を大きく下回る状況となっている。
「感染者が急減したのはPCR検査の件数が少ないからではないか」との指摘がある。東京都の最近の検査件数はたしかに減っているが、陽性率はそれ以上に激減している。感染拡大が急減速しているのは疑いようがない事実だ。
シンガポールや英国など「ウィズコロナ」に舵を切った国が再び厳しい状況がなっている中で、海外のメデイアも日本の「謎めいた減少」について関心を持ち始めている。
偶然を含めて様々な複合的な要因が影響しているだろうが、ワクチン接種の効果が最も大きいのは間違いないだろう。日本でのワクチン接種率は人口の70%近くに上っている。
岸田内閣は、「デルタ型より感染力が2倍程度のウイルスが広がると想定し、十分な病床を確保する」ことを政策の柱にしている。「備えあれば憂いなし」だ。だが筆者は「年末年始の感染拡大のリスクは昨年に比べてかなり小さくなっている」と考えている。
デルタプラスが見つかった英国
厚生労働省新型コロナウイルスアドバイザリーボードの最新の資料によれば、10月11日から17日までの人口10万人当たりの感染者数は、未接種者は7.0人、2回接種済者は0.9人だった。ワクチン接種で感染が約8分の1に抑え込まれたことがわかる。ワクチン接種が感染リスクを8分の1にしたことで、今後、感染が急拡大する確率はかなり低くなったのだ。
だが、感染者が急減した具体的な理由がわかっていないとする専門家たちは、このまま冬を迎えることに懸念を抱いている。「減少傾向が鈍化してきた」とのコメントを連発しているが、そもそも傾向は時間とともに鈍化するものだ。増えたら減るし、減ったら増える。新型コロナウイルス感染者がゼロになることはない。
新型コロナウイルス感染が再拡大している英国では、デルタ株の新たな変異(デルタプラス)が見つかっている。デルタプラスの詳細は明らかになっていないが、従来のデルタ株よりも感染力が10%程度強い可能性がある。現時点ではアルファ株やデルタ株ほど感染拡大に影響しないだろうとの見方が強い(10月21日付ニューズウイ-ク)。
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