岸田首相の実行力は未知数 枝野代表の本気度に疑問符 見極めるべき公約の実行力とは?
コストを語らない温暖化対策
また枝野代表は地球温暖化対策として、「2030年に温暖化ガスの排出を2013年比55%以上削減し、自然エネルギー電力を50%にする」という極めて高い目標を掲げています。実現できれば素晴らしいですが、国民にどのくらいのコストを強いてこの政策を断行するのか、電気料金なのか税金なのか、これも赤字国債なのか。そのビジョンも覚悟も示されていません。経済産業省幹部の一人は「元経産相とも思えない不誠実な夢物語だ」と眉を顰めています。
恐るべき公明党の一点突破
自民・立民以外の政党については、現状では選挙後に総理大臣を出す可能性が極めて低く、他党との交渉の中で公約実現を目指すことになります。
与党公明党ですが、山口代表は「未来応援給付」として「高校3年生までの子供に10万円相当の支援」を強く訴えています。自民党幹部は「こちらからするととんでもない政策だが、選挙後に何らかの形で飲まざるを得ないんじゃないか」と話します。2014年の総選挙で公明党は「消費税率引き上げの際の軽減税率導入」を一番に掲げて、選挙後に自民党内の抵抗を抑えて強硬にねじ込みました。その是非はともかく、与党の一角として一つの政策にこだわる執念は恐るべしです。
曖昧な野党政権の姿
一方野党系です。日本維新の会はこれまでも他の野党と一線を画した独自の動きで政策の実現を図ってきました。リーダーの松井代表が国会議員でなく大阪市長だという難しさは抱えていますが、選挙後も獲得した議席数や世論の動向に応じて、政策ごとに主張を盛り込もうとしていくでしょう。
共産党、国民民主党は枝野政権が誕生した時、どの程度の距離感をもって政策決定に関わっていくのか不透明です。共産党は「閣外からの協力」ということですが、総選挙で結びつきは強まっています。立憲民主党の候補者は「共産党の支持者は組織立っていて動いてくれて、とても力になる」と話しています。こうした結びつきをテコに政策決定に影響力を強めてくる可能性もあり、テーマによっては混乱の火種にもなりかねません。
未来につながる一票を
総選挙でどこに一票を投じるべきか。100%納得のいく政党や候補者など望むべくもありません。どんな基準でもいいので何らかの引っ掛かりを見つけて、「少しでもベターな未来」につながる政党・候補者が誰なのか見極めていくしかありません。
また政治の貧困が叫ばれる今、選挙区に未来の日本を背負うかもしれない有望な候補がいれば、与野党・無所属を問わず一票を投じる考えもあります。国民が次世代のリーダーを育てることは、この国のために絶対に必要です。
投票日までに国民の大切な権利を是非行使してください。国民が政治に関心を失えば、政治家もそんな国民に関心を失うでしょう。
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