「河井克行元法相」が到底承服できなかったはずの実刑を受け入れ、収監を選んだ理由とは?

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買収のため「約2900万円を提供した」と認定

 2019年7月の参院選広島選挙区を巡る大規模買収事件で、地元県議らに現金を配ったとして公職選挙法違反(買収など)に問われ、第1審で実刑判決を受けた河井克行元法相(58)が控訴を取り下げた。これで懲役3年、追徴金130万円の東京地裁判決が確定した。今年6月に実刑判決を受けた後、「到底承服できない」と即日控訴していたところからの心変わりの背景に一体何があったのか?

 判決では、広島選挙区の自民党公認候補だった妻・案里氏(48)陣営の陣頭指揮を執った克行元法相が案里氏を当選させるため、票の取りまとめなどの報酬として地元県議ら100人に約2900万円を提供したと認定している。

 案里氏は公職選挙法違反容疑で逮捕・起訴され、執行猶予付きの有罪判決が下ったが、買収された側の100人は全員無罪となった。

 克行元法相は控訴を取り下げるにあたって、ざっと以下のようなコメントを発表した。

《この度、控訴を取り下げ、できるだけ速やかに刑に服する決断をいたしましたので、ご報告申し上げます。私は、罪を償うとともに、今後の人生の中で、出来ますれば社会に再び何かしらの貢献をすることをお許しいただけるよう、己を日々厳しく練磨し、心を高めてまいる所存です。今後、現金を受領された方々に関する検察審査会が開かれると聞いておりますが、今回の件の全ての責任は私ただ一人にあり、私が全てをお引き受けする覚悟です。受領された方々への寛大なご措置を、平にお願い申し上げます》

反転攻勢の余地は

 当初は検察側と全面対決の様相を呈していたが、克行元法相は今年3月に無罪の主張をひるがえして起訴事実の大半を認めている。

「このままでは実刑は免れないということで、執行猶予を得るべく、バッジを外し(議員辞職)、恭順の意を示したわけです。が、たとえ最初から全面降伏をしていたところで、実刑から逃れるのは難しかったと思います。いみじくも判決で断じられたように、現職の法務大臣が民主主義の根幹である選挙の公正を著しく害する悪質な犯行を行ったのに執行猶予が付くとなっては、裁判所に対する国民の信頼はガタ落ちですからね」

 と、社会部デスク。

「通常は保釈されるところなのですが、1審判決後も克行元法相は東京拘置所に収容されています。これは少しでも裁判所の心証を良くしようと、敢えて選択したのだと見られています。しかし、この事件は当時の検事総長が号令をかけ、検察の威信を賭けて行われた捜査であり、起訴事実の大半を認めた克行元法相側に反転攻勢の余地はほとんど残されていなかったのだと思われます」

 さらにこう続ける。

「刑務所での生活は過酷なので、少しでも若くて体力があるうちが良いという判断が働きがちです。また、喜連川に入る算段がついた可能性がありますね」

 喜連川とは栃木県さくら市にある喜連川社会復帰促進センターのこと。民間企業が運営に関わるPFI(プライベート・ファイナンス・イニシアチブ)方式を採用している。

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