【ブックハンティング】サリンジャーの壮大な「企み」に挑んだ、文学探偵コンビの名推理

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 名探偵、みなを集めて「さて」といい。ミステリー小説でありがちな場面をめぐるそんな言葉があるが、J・D・サリンジャーの愛読者なら『謎ときサリンジャー 「自殺」したのは誰なのか』の前に集まったほうがいい。著者の竹内康浩と朴舜起が探偵コンビとなり、この作家の「バナナフィッシュにうってつけの日」に関し意外な真相を語ってくれる。それを皮切りにサリンジャーによるサーガ(物語群)の世界全体の見え方を変えてしまうのだ。

 「バナナフィッシュにうってつけの日」は、短編集『ナイン・ストーリーズ』の最初に収められた有名な作品である。...

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