がん患者の4分の1の死因「がん悪液質」とは 体重減少で衰弱、期待の治療薬が登場
進行度をあらわす三つのステージ
これらの診断基準に加えて、日本がんサポーティブケア学会によれば、体重減少や食欲不振を自覚したときは、すぐに担当医や看護師に相談するように勧めている。
「食欲が出ない」
「食事をしてもすぐに満腹になってしまう」
「食べているのに体重が減っている」
「がんになる前から穿いていたズボンやスカートがゆるくなった」
「常に疲労感がある」
「筋力が低下している」
「握力や歩行速度が低下している」
「味覚異常や嗅覚異常がある」
「吐き気・嘔吐がある」
「何もやる気になれず、うつうつとしていることが多い」
などの症状だ。
高山教授は、
「がん悪液質の問題は、がん患者さんが体重減少をあまり気にとめていないという点にもあります。以前インターネットで調査を行ったのですが、食欲不振や体重減少について医師や看護師に相談する人は少なく、その理由として“相談するようなことではないと思った”と回答した患者さんが半分以上いました。体重が減るということは、生命予後に直結する問題なので軽く考えず、体重の変化には注意を払ってもらいたい」
と忠告する。
ちなみに、がん悪液質には、進行度をあらわす三つのステージがある。がん悪液質と診断するほどの状態ではないものの、体重減少や食欲不振が起こり始めている「前悪液質」と、前述した診断基準にあてはまる「悪液質」、そしてがん悪液質の症状に加えて、抗がん剤治療も難しくなった「不応性悪液質」という三つである。
「現実には、この三つのステージの境目は曖昧で、次第に不応性悪液質へと移行していきます。多くの医療従事者の持つがん悪液質のイメージは不応性悪液質ですが、ここまでくると回復はかなり困難な状態といえます。なので、がんの治療を続けるためには、できるだけ前悪液質の段階で治療を始めて、急激な体重減少を防ぐことが大切になります」(高山教授)
[4/7ページ]