がん患者の4分の1の死因「がん悪液質」とは 体重減少で衰弱、期待の治療薬が登場

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 がんになると痩せ衰える――。日本人の2人に1人がなるといわれる国民病は一般的にそんなイメージを持たれているが、近年、痩せる原因が「がん悪液質」だと判明したという。さらに期待の治療薬も発売。悩める患者を救う吉報となるか、そのメカニズムを解説する。

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 一般的にがんになると、体重減少や食欲不振が起こるというイメージがある。実際にがん患者の多くがそれを経験する。これまでは、抗がん剤の副作用やがんの進行で、がん患者の体重が減ったり、食欲がなくなったりするのは、仕方のないことだと放置されてきた。

 だが近年、それが「がん悪液質」という合併症であることがわかり、治療の重要性が問われるようになってきた。早い段階で「がん悪液質」の治療を受けることで、生活の質(QOL)の向上と予後の改善が可能になるからだ。

 今年4月、その「がん悪液質」の治療薬が日本で初めて発売され、世界的に注目を集めている。

 薬の治験を行った、日本がんサポーティブケア学会・悪液質(Cachexia)部会長で京都府立医科大学大学院医学研究科・呼吸器内科学の高山浩一教授は、「がん患者さんは、基本的に体重は減っていくばかりなのですが、この薬の治験を通して、患者さんの体重が増えていった。患者さん自身も喜んでくれましたが、私にとっても嬉しい驚きでした」と語る。

 薬の名称は、「エドルミズ(一般名:アナモレリン塩酸塩)」。スイスの製薬会社Helsinn社が開発したもので、日本では小野薬品工業がライセンス契約に基づいて販売している。

 そもそも「がん悪液質」とは何なのか? 簡単に説明すれば、ダイエットしているわけでもないのに体重が減少し、筋肉量が減り、食欲も出ないなどの症状が現れ、さまざまな機能障害や代謝異常をともなう病態のことをいう。悪液質の語源はギリシャ語で「悪い状態」という意味。悪液質は心臓病や腎臓病、慢性閉塞性肺疾患などでも起こることがあるが、がんが原因であることが多く、それを「がん悪液質」と呼ぶ。

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