増税の折も折「孫正義」が納税「ゼロ円」のカラクリ 2兆円超の「損金」を発生させ支払い免れる
消費税率10%への引き上げは、所得の低い世帯ほど重税感に苛まれる。かたや、年収100億円で日本一の金持ちと名高い孫正義社長が率いる「ソフトバンクG(グループ)」は狡猾な節税テクニックを用い、実質的に法人税を支払っていない。一体、如何なるカラクリが隠されているのか。
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ソフトバンクGによる納税が「ゼロ円」なのは、2兆円を超す「損金」を出したからである。この途方もない損金を生み出したのは、海外でのM&Aだった。
2016年、ソフトバンクGは英国の「アームHD(ホールディングス)」を3兆3000億円で買収。ただ、HDは単なる持ち株会社に過ぎず、企業価値の大半を占めるのはスマホ向け半導体の設計を手掛ける100%子会社「アームLTD(リミテッド)」である。
ソフトバンクGの有価証券報告書からは窺い知れないが、英国でのHDの財務諸表などを見ると、18年3月23日、ソフトバンクGはHDからLTD株75%の現物配当を受けている。
その同日、今度は逆にソフトバンクGがHD株の78%を傘下の「ソフトバンク・ビジョン・ファンド」などに譲渡。つまりソフトバンクGは、自らが現物配当を受けることで企業価値を激減させた「脱け殻」を売り払った格好なのだ。
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