「二階前幹事長」が干されて恨み節「安倍は何の挨拶もない」「1億5000万円支出の指示を俺が出せる訳がない」

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“長期政権をやれたのは誰のおかげか”

 2021年5月、案里被告が有罪判決を受けた後、資金の提供について問われた二階幹事長は「関与していない」と語っている。会見に同席した林幹雄幹事長代理がこれを引き取って、「実質的には当時の(甘利明)選対委員長が広島を担当していたので、よく分からないということだ」と補足したのだった。

「選挙の責任者でカネの支出にハンコをおした人物の発言とは思われないと、猛反発をくらいました。それで二階さんは、“党全般の責任は私にあることは当然のことでありますが、収入支出の最終判断をしているわけであって個別の選挙区の選挙戦略や支援方針については、それぞれ担当において行っている”と当初の発言の修正を余儀なくされます。他方、甘利さんは“1ミリも、1ミクロンも関わっていない。選対委員長は公認の調整だけだ”と説明。極めて迷惑そうでしたね」(先のデスク)

 このように党内で二階氏への不満が募っていく状況下、「ポスト菅」として岸田氏が手を上げる際に、「党役員の任期制限」を訴えたのはご存知の通りだろう。

「二階さんへの宣戦布告でしたが、党内で二階派以外はほぼ反対する勢力は見当たらず、万事休すとなってしまいましたね」

 と、別のデスク。

「二階さんは岸田さんが自分で考えて行動できたとは思っておらず、知恵をつけた人物がいる、それは安倍さんだと見ているようです。“あれだけの長期政権をやれたのは誰のおかげだと思っているんだ。それなのに安倍は何の挨拶もない。というかこれまで1度も感謝を申し述べたことがないんだ”とこぼしていました」

“会社で考えてもらえれば分かりますよね”

 件(くだん)の1億5000万円についてこのデスクによれば、

「二階さんは、“会社で考えてもらえれば分かりますよね。社長に言われて初めて経理なり総務なりが動くわけでしょ。独断で総務部長がどうのこうのっていうのはあり得ませんよ”と言っていたようですね。暗に安倍さんの指示をほのめかしたということでしょう」

 結局、自民党はこの1億5000万円は買収の原資に使われていないとすることで幕引きを図っている。

 さて、閣僚や役員人事で冷飯を食うことになった二階派は、今回の総選挙でも苦境に立たされている。

「その代表が山口3区。参院から鞍替えを図った林芳正元文科相(岸田派)と公認を争った河村建夫元官房長官(二階派)への扱いでしょう。甘利幹事長が双方と面談して河村さんに不出馬を飲ませました。もともと林さんの父親の地盤で、今回の情勢調査でも林さんが河村さんを圧倒していましたから想定内の展開ではありますが、二階さんが幹事長ならこうはなっていなかったかもしれません」(同)

 その他、番頭格の林幹雄氏も苦戦を強いられ、選挙区に張り付かざるを得ない状況だという。

「二階さんも可能なら今回の選挙の前に引退を表明していたのですが、後継に決まっている3男への引き継ぎがうまくいかず、もう1期やることになりました。選挙が終われば武田良太前総務相の派閥へ徐々にシフトしていくものと思われます」

 盛者必衰を地で行く流れである。

デイリー新潮取材班

2021年10月22日掲載

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