妻と不倫相手、2人に刺された男の告白 「あと10年くらいたったら結局残るのは…」

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 最近、あまり聞かなくなったが「刃傷沙汰」という言葉がある。物騒な響きである。だが怒れば刃物を持ち出すのが人間の愚かなところであり、良くも悪くも「人間臭さ」を感じさせる行動といえるかもしれない。【亀山早苗/フリーライター】

「まさに“傷だらけの人生”ですよ。自分が悪いとはいえ、僕自身は彼女たちを物理的に傷つけたわけじゃないのに」

 内田秀夫さん(47歳・仮名=以下同)は、顔をくしゃっとさせながらそう言った。本人は苦笑しているつもりらしいが、どこか愛嬌があって憎めない“笑顔”である。彼曰く、「1ヶ月の間に妻と恋人、ふたりにナイフで刺された」のだそう。そして刺した妻と今も家庭を維持し、もう一人の刺した恋人ともまだ続いている稀有な男性である。

 秀夫さんが、人妻だった千里さん(42歳)と結婚したのは12年前。当時、千里さんには3歳のひとり娘がいた。職場で知り合ったふたりは恋に落ち、秀夫さんは千里さんの夫に直談判をして離婚してもらった。

「僕はそれまで、恋といえるような関係を女性と結んだことがなかったんです。好きだの嫌いだのという感覚もよくわからなかった。だけど会社に彼女が契約社員で入ってきたとき、脳天に近いところがピコピコしたんです(笑)。それが恋の予兆だったんだと思う」

夫にブチ切れ、取っ組み合いに…

 一世一代のつもりで彼女を口説いた。最初は相手にしてくれなかった千里さんも、だんだん秀夫さんの気持ちにほだされていく。結婚して数年しかたっていないのに、千里さんと夫の仲はあまりよくなく、そこに姑も絡んで、彼女はつらい思いをしていたようだ。

「だったらと、家業を継いでいる千里の夫に会いに行きました。僕は千里を愛している。愛している者同士が一緒になったほうがいいと思う、と。『くれてやってもいいけど、子どもは置いていけ』と言った夫に僕はブチ切れて、取っ組み合いになりました。千里は物じゃない、ふざけるなと。若かったんですね……」

 近所の人たちが警察を呼んで大騒ぎとなった。その様子を見ていた千里さんは心を決めたのだろう、数日後には子どもを連れて秀夫さんのマンションにやってきた。その後、弁護士を通して離婚届を送付、夫は弁護士にビビったのかサインしてくれた。

「千里の娘がまたかわいい子でね。すぐに懐いてくれました。お父さんと呼ばなくてもいい、僕はお母さんの友だちだから、ヒデって呼んでいいよと言うと、『ヒデちゃんにする』と。あれから今に至るまで、僕はなぜか娘の『観点』『判断』をすごく信頼しているんです。すんなり受け入れてくれた恩があるから」

 その1年半後、秀夫さんと千里さんの間に男の子が生まれた。家族4人、それから10年間は平和に楽しく過ごしてきた。

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