ノーベル賞・真鍋博士の「日本に帰りたくない」発言の深意 アメリカの初任給は日本の26倍、研究環境に違いも
日本中を沸かせた、真鍋淑郎博士(90)のノーベル物理学賞受賞。が、その会見の席で出た言葉は、祖国で波紋を呼んだ。「日本に帰りたくない」発言の深意とは。
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真鍋博士は1958年、米気象局の研究員として渡米後、アメリカ国籍を取得し、現在も米国に居を構えている。受賞決定直後の会見で記者から「国籍を変えた主な理由は?」と問われ、笑顔でこう答えたのである。
「日本では人々はいつも他人を邪魔しないよう気遣っています。とても調和的な関係を作っています」
他方、アメリカでは、
「自分のしたいようにできます。他人がどう感じるかも気にする必要がありません。私のような研究者にとっては、アメリカでの生活は素晴らしいです。自分の研究のために好きなことができます。私は人生で一度も研究計画書を書いたことがありません。自分の使いたいコンピューターをすべて手に入れ、やりたいことを何度もできました」
と比較した上で、日本の話に戻り、
「それが帰りたくない理由のひとつです。なぜなら私は他の人と調和的に生きることができないからです」
と会場から笑いを取った。ユーモアに包んではいるものの、日本の研究風土に対する批判とも取れるのだ。
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