毒蝮三太夫×生島ヒロシ対談 毒舌が許された理由、85歳で現役の健康法とは
チューニングを合わせれば流れてくるおなじみの声。半世紀以上も冠番組を続ける名物男が本誌(「週刊新潮」)にやってきた。聞き手を務めるのは、同じく朝のラジオで長寿番組を牽引する名パーソナリティーだ。ラジオ黄金時代を生きた二人による秘話満載の対談をお届けしよう。
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【写真5枚】約50年前、「ミュージックプレゼント」開始当初の毒蝮三太夫
〈コロナによる巣ごもり生活で、ラジオを聴く人が増えているという。リモートワークや家事の最中でも、耳から情報が得られる手軽さに加えて、司会進行を務めるラジオパーソナリティーとの距離の近さが魅力となり、人気を呼んでいるのだ。そんなラジオ界では、長くリスナーから支持を集めてきた「長寿番組」を牽引する二人がいる。
一人は、来月で53年目に突入するTBSラジオ「ミュージックプレゼント」(毎月最終土曜日午前10時から「土曜ワイドラジオTOKYO ナイツのちゃきちゃき大放送」内で生放送中)を担当する俳優でタレントの毒蝮三太夫。もう一人、同じくTBSラジオの“顔”である生島ヒロシアナウンサーは、平日朝5時から生放送中の「生島ヒロシのおはよう定食/一直線」を23年続けて、今年4月に放送6千回を達成した。この度、久々の再会を果たしたラジオ界の重鎮二人が、番組の舞台裏をはじめとする数々の秘話を、本誌だけに語ってくれた。〉
毒蝮 最近、俺が会った人たちが、みんな姿を消してしまうんだよ。今年8月、一緒に仕事した千葉真一さん、「ウルトラマン」で共演した俳優の二瓶正也(科学特捜隊のイデ隊員)も亡くなってしまってね。
生島 マムシさんに会ったら……。
毒蝮 生島ヒロシも危ねぇぞ。お前、髪の毛がちょっと白くなったんじゃねぇか。
生島 もう70ですから。古稀ですよ、古稀!
毒蝮 俺は昭和11年生まれだから85歳になった。
生島 え? そうは見えないけど、マムシさんは超がつく高齢者だったんですね。
毒蝮 超? スーパーか。俺は番組で各地のスーパーを回ってきたから“スーパー高齢者”だな。今日はヒロシに会う前、ラジオの生放送と新聞・雑誌の取材を受けたけど、話題は亡くなった人への弔辞だったよ。
生島 齢のせいか、身近な人の死を聞くことが増えていますよね。最近でも、橋田壽賀子さんやメリー喜多川さんがお亡くなりになった。マムシさんには永遠に生き続けてほしいけど、やはり身近な人の訃報で自らの死を意識することは?
毒蝮 そりゃあるよ。自分より年下がどんどんあの世へ呼ばれているからね。でもさ、不慮の事故とかだったらしょうがないけど、病気で亡くなった人の話を聞くと、もっと早く手当てをしたら防げたんじゃないか、と思うところがあるんだよな。声優として「007」シリーズの初代ボンド役を演じたショーン・コネリーの声の吹き替えを務めた若山弦蔵さんも、今年5月に88で亡くなったけど、自宅2階へ上がって朝になったら息絶えていたそうでね……。誰かが近くにいたら気がついてもらえたかもしれない。ウチは老夫婦だけど、しょっちゅう声を掛け合い、傍にいるよう気を付けている。いくら稼いだって金はあの世へ持っていけない。だったら楽しく生きなきゃ。人間は最期が肝心だよな。
生島 本当にそうですね。
毒蝮 俺には子供がいないけど、ご近所さんとかいろんな人がしょっちゅう遊びに来てくれる。でも年寄りばっかりで集まっちゃダメ。自分より若い人と交流しないと、どんどん老けるね。長生きした分、年寄りの知恵を若い人に分けるつもりで会えばいいと思う。
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