巨人10連敗で思い出す川上監督の言葉 CS出場逃せば原監督の責任問題浮上【柴田勲のセブンアイズ】

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「勝敗の責任は監督が背負っている」

 その一方で今回の大型連敗によって各方面からさまざまな意見が噴出し始めたのも確かだ。

 万が一、巨人がCS出場を逃すようなことにでもなれば原監督の責任問題が浮上するのは間違いない。

 川上(哲治)監督は、「勝敗の責任は監督が背負っている。お前たちは自分の力を発揮することだけを考えろ」と話していた。これはもう監督業の宿命だ。

 巨人フロントにすれば、早くCS出場を決めて、CSでも2位チームを倒して勝ち上がり優勝チームと戦ってほしい。こう思っているのではないか。いま、原続投を打ちだしたらどんな反響を呼ぶか容易に想像がつく。タイミングを図っている最中ではないか。

 ちなみに私はヤクルト優勝、阪神は2位と睨んでいる。

 今季の巨人はエース・菅野智之が4度の登録抹消をするなど思うように働かなかった。山口俊にしても同様だ。前半戦、高橋や戸郷の働きがあったからこそ優勝争いに加わることができた。この二人が反動でここに来て落ちてきたのは仕方がない。

5勝すれば6、7敗するタイプ

 原監督は8月末から先発投手を6人から5人にして中5日を基本線に、時には中4日で起用した。菅野、山口、C.C.メルセデス、戸郷、高橋だが、結局これがうまく機能しなかった。中継ぎ投手陣にもしわ寄せがきた。守護神として台頭したチアゴ・ビエイラが9月9日に右ヒジの違和感で登録を抹消されたのも痛かった。中川皓太、畠世周、ルビー・デラロサらを起用して、しのぐしかなかった。

 それに打線の不振だ。優勝争いをしているヤクルト、阪神は外国人助っ人が健在だ。ヤクルトはホセ・オスナ、ドミンゴ・サンタナ、阪神はジェフリー・マルテが軸となり、ジェリー・サンズとロハス・ジュニアを併用してきた。

 翻って巨人はエリック・テームズが開幕早々、右アキレス腱断裂で戦線離脱、ジャスティン・スモークが家庭の事情で帰国、8月に獲得したスコット・ハイネマンが「体調不良」を理由に帰国した。全滅だ。こんなのは超異例の事態だろう。

 DeNAからFA移籍してきた井納翔一は全く働かなかった。まあ、5勝すれば6、7敗するタイプであまり期待をしていなかったが。梶谷隆幸はいいなと思ったけど結局はケガに泣かされたシーズンとなった。その代わり、出場機会を得た松原聖弥が大きく成長したのは収穫だった。

 まだ、シーズンが終わっていないのに振り返ってしまった。でも、本当に今年はいろんなことがあった。

 巨人の残り試合数は泣いても笑っても4。後ろから響く広島の足音を気にせず、このトンネルを抜けてほしい。

 また言うがCS出場を信じている。

 ※1 2016年は10連敗、シーズン4位、17年は球団記録更新となる13連敗、シーズン4位。

 ※2 巨人の残り試合は「4」、広島は「7」。巨人は4勝0敗か3勝0敗1分ならばCS進出が確定。4敗して14連敗で終わっても、7試合を残す広島が0勝だと3位が確定する。

(成績は18日現在)

柴田勲(しばた・いさお)
1944年2月8日生まれ。神奈川県・横浜市出身。法政二高時代はエースで5番。60年夏、61年センバツで甲子園連覇を達成し、62年に巨人に投手で入団。外野手転向後は甘いマスクと赤い手袋をトレードマークに俊足堅守の日本人初スイッチヒッターとして巨人のV9を支えた。主に1番を任され、盗塁王6回、通算579盗塁はNPB歴代3位でセ・リーグ記録。80年の巨人在籍中に2000本安打を達成した。入団当初の背番号は「12」だったが、70年から「7」に変更、王貞治の「1」、長嶋茂雄の「3」とともに野球ファン憧れの番号となった。現在、日本プロ野球名球会副理事長を務める。

デイリー新潮取材班編集

2021年10月18日掲載

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