セリフ、歌唱を抑えた「オズの魔法使い」が上演 「セリフは半分、ダンスやパントマイムを中心に」
コロナ禍明けのムード強まれど興行界は依然、規制全面解除までにはいたっていない。観客数制限もなお続く中、今、新たな取り組みが。客席だけではない、舞台の上でも安全のためにできることをやってみる、というわけである。
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日本初の“自前小劇場”を建てたことで知られる劇団「テアトル・エコー」。昨年、創立70周年を迎えた老舗が打ち出したのは、映画やミュージカルでもおなじみ『オズの魔法使い』が原作の、新しい劇の形だ。
10月8日が公演初日となった「DANCE WITH OZ~『オズの魔法使い』より~」は、セリフの数を抑え、身体パフォーマンスを中心にした類のない構成。企画・制作を担当した平野智子さんは言う。
「昨年秋、稽古中のある劇団でクラスターが発生した際に“しゃべる、歌うによる飛沫が原因”と言われました。そこで“しゃべらない演劇”“身体パフォーマンスでみせる演劇”を作ってはどうかと考えたのです。稽古中の感染リスクも、お客さまの心配も和らぐのではないかと」
身体表現ならば、童話やおとぎ話などファンタジーは相性がいいだろうと題材を検討。浮上したのが『オズの魔法使い』だった。
2015年に他界するまで劇団を率いた熊倉一雄氏は、アニメ「ゲゲゲの鬼太郎」の主題歌を歌うなど声優としても幅広く活躍したが、ジュディ・ガーランド主演の映画でオズ大魔王の日本語吹き替えを担当、早見優主演のミュージカル版でもオズを演じた。
「せっかくなら、熊倉さんにちなんだ作品を選ぼうと思ったのです。今年は熊倉さんの七回忌にあたるので、命日の10月12日を千秋楽にしました」
目下求められる「安全」を考慮し、削ったのはセリフと上演時間だ。
「セリフは最小限で通常の半分です。上演も普通は2時間半かかるところ、75分と大幅に短縮。セリフが少ない分、ダンスやパントマイムなどで見ていただけるようにしています」
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