「斎藤佑樹」が引退 田中将大に三戦全敗…プロ11年間の“苦闘”のベストピッチは?

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チームのV旅行参加を辞退

 そんな逆境にあって、斎藤が“蝋燭の火”の最後の瞬きを見せたような試合として印象深いのが、17年9月27日のオリックス戦だ。前年日本一になったチームのV旅行参加を辞退し、このシーズンにすべてを賭けていた斎藤は、約3ヵ月ぶりの1軍のマウンドに「ラストチャンスだと思って、出し切りたい」と丹念にコーナーを突いて、5回まで1失点と試合をつくる。

 だが、1対1の6回1死、ロメロに右越えソロを浴び、6回2失点で降板。試合は、延長11回に日本ハムが勝ち越して勝利を収めたが、斎藤は「結果がすべて。自分自身も勝てるチャンスがあっただけに悔しい」とたった1球の失投を悔やんだ。しかし、栗山監督も「覚悟して投げていた。先につながっていくと思う」と評した気迫の投球は、斎藤の苦闘の時代の“ベストピッチ”と呼ぶにふさわしいものがあった。

 あの夏の甲子園から15年─―。かつて一世を風靡したプリンスのマウンドも、本日のオリックス戦で見納めとなる。

久保田龍雄(くぼた・たつお)
1960年生まれ。東京都出身。中央大学文学部卒業後、地方紙の記者を経て独立。プロアマ問わず野球を中心に執筆活動を展開している。きめの細かいデータと史実に基づいた考察には定評がある。最新刊は電子書籍「プロ野球B級ニュース事件簿2020」上・下巻(野球文明叢書)

デイリー新潮取材班編集

2021年10月17日掲載

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