松井秀喜はプロでも4打席連続四球…シーズン終盤「醜い敬遠騒動」の顛末

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 プロ野球ペナントレースも大詰め。V争いとともに、個人タイトル争いも白熱してきた。

 タイトル争いといえば、大リーグ、エンゼルス・大谷翔平のシーズン終盤の敬遠攻めも記憶に新しいが、過去のNPBにおいても、ファンの興趣を削ぐような、醜いといっても過言ではない“敬遠騒動”が何度かあった。

「歩かせてください」

「無死満塁で敬遠」というまさかの珍事が起きたのが、1975年の広島・山本浩二と中日・井上弘昭の首位打者争いだった。山本は打率.319、井上は.318。わずか1厘差の争いは、10月19日の直接対決に持ち越された。

 シーズン最終戦とあって、山本は逃げ切り狙いでベンチスタート。井上もベンチ待機で様子を窺った。そして、中日が3回に無死満塁のチャンスをつくると、代打・井上が告げられた。嫌でも勝負せざるを得ない状況。井上が安打を記録すれば、5毛差で逆転する。

 だが、すでにリーグVを決め、消化試合の広島は余裕があった。古葉竹識監督は「勝負するか、歩かせるか、お前の好きなようにしてやる」と山本に意思確認。答えは「歩かせてください」だった。

 かくして、広島・永本裕章は井上に対し、4球続けてボールを投げ、“NPB史上初の満塁押し出し敬遠”が実現した。「クソ面白くねえ。何で勝負してこないんだ!」と井上は悔しがったが、中日はもう1試合残っており、10月21日のシーズン最終戦、阪神戦の結果いかんでは、逆転も夢ではなかった。

 この日3打数1安打の井上は、4打席目に安打が出れば、逆転首位打者が実現するところだったが、皮肉にも阪神・米田哲也が投じた初球は死球に……。球審に「当たっていない」と必死でアピールした井上だったが、判定は覆らず、タイトルは幻と消えた。

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