優勝逃した巨人 井納、山口、テームズ、スモーク、中田翔…今年も補強失敗にファンの怒り
G党の怒りは当然
ところが山口は、10月8日の広島戦で自己ワーストの7連敗を喫するなど不調で、12日時点の成績は2勝8敗とチームの足を引っ張っている。中田も低迷が続き、同じく成績は打率1割3分8厘、本塁打2本と全く期待に応えられていない。ハイネマンに至っては、9月30日に球団から体調不良で近日中に帰国するとの発表があった。
野球評論家の広澤克実氏は「プロ野球は結果が全てです。巨人ファンの怒りは当然でしょう」と指摘する。
「梶谷くんは運が悪かったにせよ、外国人の3野手が全員帰国したり、中田くんが不振にあえいだりするなど、“補強失敗”が目立ちました。優勝を逃したことで、溜まっていたファンの不満が一気に爆発しました」
広澤氏は「ファンの声は正論ばかりです」と指摘し、その上で根本的な問題として「原監督の補強にはビジョンが感じられません」と言う。
原監督の「分かりにくさ」
「私は1994年オフにFA宣言を行い、12月に巨人と契約を結びました。当時の監督は長嶋茂雄さん(85)で、大型補強には批判も多かったですね。ただ、長嶋さんの補強は『とにかく勝ちたいんだ』という意識に根ざし、特に長距離ヒッターを獲得しました。野球ファンにも分かりやすかったと思います」(同・広澤氏)
だが原監督の場合、ファンでさえ「なぜこんな補強をしたのか?」と首をひねるケースが散見される。
「好意的に見れば、原さんはある選手を『ひ弱だ』『不甲斐ない』と判断すると、他球団のベテランで置き換えようとするように思えます。経験豊富な選手の、どっしりした安定感のようなものを求めているのかもしれません。ただ、長嶋さんのような明快な補強とは異なります。『こういうチームにするんだ』というビジョンが分かりにくい補強ということも、ファンの批判を招いた原因ではないでしょうか」
そもそも大型補強が喜ばれるのかという問題もある。日本の野球ファンは、FAで獲得した選手が活躍しても、どこかで「大枚を叩いたんだから当然だろう」とクールに見る傾向があるようだ。
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