「自公過半数割れ」報道の衝撃…低支持率の「岸田政権」で本当に勝てるのか?
鍵は「対決の構図」
今夏に自民党が実施した調査で「最大で70議席減」という衝撃的な結果が出たと大騒ぎになった自民党議員にすれば、不人気の菅義偉政権から看板を付け替えることに成功して、一時は「もう安泰!」と喜んでいたはずである。ところが、岸田新内閣の支持率は軒並み低調だ。選挙情勢に詳しい全国紙政治部デスクは「支持率や首相の人気は『追い風』となって反映されることがありますが、今回はないでしょう。基本的に勝負の鍵を握るのは対決の構図です」と指摘する。
前回衆院選を見ると、自民党や公明党の候補者が野党系候補者と「一騎打ち」だったのは43選挙区で、野党系は15勝にとどまる。289選挙区のうち、162選挙区が希望の党や日本維新の会を含めた3つの勢力での争いとなったためだ。このうち共産・社民が立憲民主党に一本化した23の選挙区では、野党系は与党を上回る12勝だった。
今回、小選挙区に約80人を擁立予定の維新とバッティングするところは避けられそうにないが、前回と異なるのは多くの選挙区で戦った希望の党の候補者が存在しないことだ。代わりに小池百合子知事が特別顧問を務める「都民ファーストの会」が国政進出を表明したものの、岸田総理による投票日前倒しも響き、擁立者数がどの程度の規模となるかが不透明な情勢だ。結果として失敗に終わったが旋風を巻き起こした前回と比べ、迫力不足の感は否めない。
その結果、野党候補者が乱立して与党が「漁夫の利」を得るような選挙区が減る可能性は高い。ただ、216選挙区での候補者擁立を準備する立憲と、共産や社民、れいわの競合はいまだ約70もあり、一本化調整ができるか否かが結果を大きく左右する。
「野党の議席が増えた方がいい」と答えた割合は…
10月9、10日実施のFNN・産経合同世論調査によると、衆院選の比例投票先は自民が39.1%で、立憲(9.5%)の4倍近くに達している。ただ、次期衆院選で「野党の議席が増えた方がいい」は35.9%と、「与党の―」の22.1%を上回った。次期衆院選(定数465)は、「週刊現代」の予測通りならば自民が単独過半数を上回るが、「週刊朝日」「週刊ポスト」にある「落選危機」候補者たちの多くが苦杯をなめる展開になれば、「与党過半数割れ」もあり得る。
「これからコロナが増えてきたらどうするんだ」。求心力上昇に向けて、就任直後の解散総選挙を決断した岸田首相は最近、周囲にこう不安を漏らしている。頼みの綱は新型コロナウイルスの感染状況が落ち着く中で、「野党分裂」が起きることであるのは間違いなさそうだ。
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