岸田首相と“宏池会シンパ”の枝野代表は同類? 国会審議で見えてきた決定的な違いとは

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リベラル色が濃い安保政策

 一方の枝野氏の代表質問からは、覇権主義を強める中国に対する総合的な対策は見えてきません。尖閣諸島周辺への領海侵入については、「断じて容認できない」として、「領域警備と海上保安庁体制を強化する法整備を進める」としています。ただ尖閣問題への対症療法的な提案にとどまっていて、立憲民主党の中堅議員は「日本の役割はあくまで中国を国際協調の場に引き戻すことだ」と強調します。

 そして日米同盟に関して枝野氏は、地位協定の改定と沖縄・辺野古への新基地建設の一旦中止を訴えしました。さらに代表質問では触れませんでしたが、共産党など野党4党で先月合意した衆院選に向けた共通政策では、安全保障関連法の違憲部分の廃止、つまり集団的自衛権の一部行使容認を撤回するとしています。

 これは今の野党共闘の原点ともいえる主張ですが、現在の日米の防衛協力の在り方にも影響を与えるものです。

 岸田氏と枝野氏、どちらの政策が今後の日本の平和と安全を守るために現実的なのか。日本は中国、そしてアメリカに対してどういう立場を取り、何を主張すべきなのか。冷静に判断する必要があるでしょう。

問われる「本気度」と「実行力」

「これまでの政治を否定することなく、その反省もなく、表紙を変えただけでは何も変わりません」

 枝野氏は代表質問の終わりをこうした訴えで締めくくりました。岸田、枝野両者の大きな違いの一つが、ここまで政権運営を担ってきた側か、これまでと異なる新しい側かにあることは間違いありません。

 しかし今までが不満だからとにかく変えればいいということではありません。その他の政党も含めて政策を見比べるのはもちろん、その本気度と実行力はいかばかりか。ポストコロナの時代を託せるのがどの政党なのか。来るべき総選挙では、我々国民の見極める力も試されるのです。

青山和弘(あおやま・かずひろ)政治ジャーナリスト
1968年、千葉県生まれ。東京大学文学部卒。92年、日本テレビ放送網に入社し、94年から政治部。野党キャップ、自民党キャップを歴任した後、ワシントン支局長や国会官邸キャップ・解説委員を務める。与野党を問わず幅広い人脈を持つ。本年9月からフリーの政治ジャーナリスト。

デイリー新潮取材班編集

2021年10月12日掲載

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