いびきで最悪の睡眠に “人生の残り時間”を増やす予防策と治療法は?
症状が劇的改善
自分でできる対策のみならず、医師による専門的な治療法も気になるところ。これについて、
「診断された場合、先に述べた生活習慣の改善なども指示されますが、とりわけ重度の患者さんのうち、9割以上が選択する治療法が、CPAP(シーパップ)と呼ばれるものです」
と白濱理事長が言う。
この治療法で用いられるのは本体機器とホース、マスクから成る医療機器(写真参照)。毎晩就寝時、患者はマスクを鼻や口に装着する。すると本体機器から空気が送られ、その圧力によって、常に気道が確保されるという仕組みだ。これによって、呼吸が正常化し、快適な睡眠を得られるわけである。
「機器自体は高額なので、患者さんはレンタルして毎日装着する。医師の処方の元で行うのなら保険適用が認められ、毎月の自己負担額は3割負担の場合、4500円程度となります」
お笑いタレントでSAS患者でもあるという芋洗坂係長は、医師の診断後、このCPAP療法を勧められたという。
ご本人に聞くと、
「始めてすぐは、無意識にマスクを外してしまうなど、違和感があったのですが、1~2週間経つと慣れてそれもなくなった。すると、劇的に症状が改善されたんです。何より、日中の眠気が吹き飛んだんですよね。また、夜中に目が覚めなくなりました。それまでは一晩に3~4回はトイレに立っていたけど、それもなくなりましたよ。CPAPを始めて、いかにそれまでの自分の睡眠に問題があったかを実感しました。まあまあ眠れていると思っていたのですが、実は全然眠れていなかったんですね」
この治療法、確かにさまざまな医師に聞いても、効果を評価する声がほとんど。重症患者であっても、CPAP治療を行えば、致死的な心疾患のリスクを健常者並みに低減できるという研究データが報告されている。「CPAPで人生の残り時間が増えた」と言う患者も多い。
[2/3ページ]