DeNAの「ドラ1」はスポーツ紙の予想が当たらない…今年指名されるのは一体誰だ?

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従来の方針が変わる可能性

 一方で、親会社がDeNAになった2012年から1位、2位の上位で高校生投手を1人も指名していないため、将来の先発候補が手薄という課題を抱えている。そちらを最優先にして動くのであれば、前出の高校生3人となるが、このなかで、完成度が高い小園が最も優先度が高くなるだろう。

 小園は、コントロールや変化球、投球術がいずれも高校生とは思えないレベルにあり、早ければ2年目からのローテーション入りが期待できる。太い柱になれる素材で、なおかつ、早くから一軍で使える投手というDeNAのニーズにピッタリ当てはまる。

 ただし、過去のドラフトでは、抽選を嫌う傾向があり、単独指名の可能性も捨てきれない。そうなると、達孝太(天理)、木村大成(北海)、山下輝(法政大)、山田龍聖(JR東日本)などが候補になりそう。特に、150キロ左腕の山田が急浮上することもありうる。

 一つ頭に入れておくべきなのは、首脳陣とスカウト体制の変化だ。これまでチームの立て直しの指揮を執っていた高田繁GMは2018年限りで退いており、GM補佐やスカウト部長を務めた吉田孝司氏も昨年のドラフトを最後に勇退している。そういう意味では、今年は新たな体制で臨む初めてのドラフトということで、従来の方針が変わる可能性がある。

 さまざまな観点を考慮して、最初の入札候補を1人に絞るとすれば、筆者は小園の名前を挙げたい。DeNAが過去数年間に上位で指名した投手をみると、1年目、2年目はそれなりに活躍しても、故障や不調で長続きしないケースが非常に多い。そのような流れを打破しなければという空気は、少なからず球団の中にもあるようだ。チームを変えるための目玉として、小園を選ぶという可能性は決して低くはないだろう。

 今年は他球団も事前の指名公表を控える傾向が強く、例年以上に読みづらい展開となっているが、DeNAは果たしてどんな決断をするのか。運命のドラフト会議はもうすぐである。

西尾典文(にしお・のりふみ)
野球ライター。愛知県出身。1979年生まれ。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間300試合以上を現場で取材し、執筆活動を行う。ドラフト情報を研究する団体「プロアマ野球研究所(PABBlab)」主任研究員。

デイリー新潮取材班編集

2021年10月10日掲載

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